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公開日:2023.11.09
更新日:2024.04.10
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五大栄養素とは?それぞれの働きと、各栄養素を多く含む食品を解説

食品に含まれるさまざまな栄養素の中でも、生きるために欠くことができない栄養素を「五大栄養素」といいます。病気を防ぎ、健康を維持するためには、それぞれ異なる働きを持つ五大栄養素をバランス良くとることが大切です。
本記事では、五大栄養素の働きと、各栄養素を多く含む食品についてご紹介します。

目次

五大栄養素とは、炭水化物、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンのこと

五大栄養素とは、三大栄養素といわれる「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」に「ミネラル(無機物)」「ビタミン」を加えたものです。各栄養素にはそれぞれ異なる働きがあり、その働きによって以下の3つのグループに分けられます。

■栄養素の働きによるグループ

グループ 栄養素
エネルギーのもととなる 炭水化物、脂質、たんぱく質
体を作る たんぱく質、ミネラル
体の調子を整える ビタミン、ミネラル

エネルギーのもととなる

体に必要なエネルギーのもととなる主な栄養素は、三大栄養素である「炭水化物」と「脂質」「たんぱく質」です。臓器の基本的な働きを助け、脳と体を動かす力の源になることから、3つの栄養素は「エネルギー産生栄養素」とも呼ばれます。
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられ、糖質は日常的な活動に使われるエネルギー源のひとつです。脂質は体に蓄積されて効率良くエネルギーを生み出します。たんぱく質は、糖質や脂質が体内に不足している場合に分解されてエネルギー源になります。

体を作る

体を作る働きをする栄養素は、「たんぱく質」と「ミネラル」です。たんぱく質は、臓器、皮膚、筋肉、血液、髪の毛など、体を構成するあらゆる成分の材料として使われます。
一方、ミネラルは、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、リンなどの総称で、骨や歯を作る、神経伝達物質の合成を行う、身体機能の働きを助けるといった役割があります。

体の調子を整える

体の調子を整える栄養素は、「ビタミン」と「ミネラル」です。体を動かすエネルギー源にはなりませんが、体の機能を調節して調子を整えます。

このように、五大栄養素には生命を維持し、健康的な生活を送るためのさまざまな役割があります。食事の際は五大栄養素をバランス良く取り入れるようにしましょう。


五大栄養素の働きと、各栄養素を多く含む食品

五大栄養素は、エネルギーのもととなる栄養素、体を作る栄養素、体の調子を整える栄養素の3つのグループに分けられますが、栄養素ごとにそれぞれ異なる働きをしています。ここでは、五大栄養素のそれぞれの働きと、各栄養素を多く含む食品をご紹介します。

1 炭水化物

炭水化物は、消化酵素の働きによってエネルギー源となる「糖質」と、体内の消化酵素で消化できない「食物繊維」に分かれます。

炭水化物のうち糖質は、消化されてブドウ糖となり、体内に吸収されて筋肉や脳のエネルギー源として使われる重要な栄養素です。特に、脳のエネルギー源は主にブドウ糖といわれています。そのため、糖質が不足すると、集中力や思考力が低下したり、疲れやすくなったりします。
また、糖質はたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、11種類の非必須アミノ酸を作る役割もあります。

このように、糖質は生活する上で必須のエネルギー源ですが、たくさんとればいいわけではありません。エネルギーとして使いきれなかった糖質は体内で中性脂肪に変わり、脂肪細胞となって蓄積し、肥満の原因になります。また、ブドウ糖が血液に入ると血糖の濃度が上昇します。血糖値が高い状態が続くと糖尿病のリスクが高まるため、注意が必要です。

なお、炭水化物を多く含む食品には、米や麺、パンといった穀類、いも類、果物などがあります。特に、白米、じゃがいも、ぶどうは糖質を多く含みます。

・穀類

ごはんや餅、麺、パンなど、主食として食べられる穀類やその加工品は、糖質を多く含む食品の代表格です。菓子パンなど、砂糖を多く含むものは特に糖質量が多く、食べ過ぎに注意が必要です。しかし、肥満を心配するあまり、穀類を極端に減らすことはおすすめできません。
特にダイエット中の人は穀類を敬遠しがちですが、穀類を抜くとエネルギーが不足したり、食物繊維の摂取量が減ったりするリスクがあります。食べる量や回数で上手にコントロールしましょう。

・エネルギー量が多い野菜

エネルギー量が多い西洋かぼちゃ、とうもろこし、レンコンなどには糖質が多く含まれます。

・いも類

じゃがいもやさつまいもなどのいも類や、いも類のでんぷんから作られた春雨も糖質を多く含みます。とり過ぎに注意しましょう。

・果物

果物は、ビタミンCや食物繊維、カリウムなどを補給しやすい食品ですが、多く食べると果糖のとり過ぎにつながります。果物の中でも、ぶどう、柿、パイナップル、マンゴーは糖質を多く含んでいます。

糖質については、以下の記事をご覧ください。

糖質とは?糖類との違いや適切な摂取量、糖質が少ない食品を紹介

2 脂質

脂質も、体に必要なエネルギーを産生する栄養素のひとつです。脂質は少ない量でもエネルギー量が多いため、効率良くエネルギーを摂取できることに加えて、細胞膜の構成成分としても重要な役割を果たします。

脂質は動物性油脂に多く含まれる「飽和脂肪酸」と、植物性油脂や魚に多く含まれる「不飽和脂肪酸」に大別されます。飽和脂肪酸は血中のコレステロールや中性脂肪を増加させますが、不飽和脂肪酸はそれを減らす働きがあるため、同じ脂質でも不飽和脂肪酸を積極的にとるようにしましょう。

なお、脂質を多く含む食品には、油や調味料、肉類、魚類などがあります。

・油、調味料

基本的に、植物油は不飽和脂肪酸を多く含み、ラードやバター、牛脂などの動物油は飽和脂肪酸を多く含みます。不飽和脂肪酸を中心にとりたいときは、ひまわり油やサフラワー油、えごま油、ごま油、オリーブ油、なたね油、ぶどう油などを選びましょう。マーガリンやマヨネーズなども植物油を使用しています。
植物油の中でも、パーム油やココナッツオイルは、飽和脂肪酸が多いため摂取量には注意が必要ですが、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸(MCT)も含むため、適量の摂取がおすすめです。

・肉類

肉類は飽和脂肪酸を多く含みます。特に、脂身や鶏肉の皮、ソーセージやベーコンなどの加工品、ひき肉は食べ過ぎに注意してください。

・魚類

魚の油に多く含まれるのは、不飽和脂肪酸です。特に、青魚はDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸を含んでいます。マグロ類、サンマ、マイワシ、サバ、ハマチ、カツオなどを積極的にとりましょう。

脂質については、以下の記事をご覧ください。

脂質とは?脂質の多い食べ物や摂取量の目安、おすすめレシピを紹介

3 たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や皮膚のほか、ホルモン、酵素、抗体などの体調節機能成分を作る栄養素で、糖質や脂質が不足しているときには分解されてエネルギーとして使われます。
たんぱく質不足は体力や免疫機能低下、成長障害などの原因になる一方、過剰摂取は腸内環境や慢性腎臓病が悪化するリスクがあるため、ほかの栄養素と同じく適量を心掛けましょう。

たんぱく質を多く含む食品には、肉類や魚介類、豆類、卵などがあります。

・肉類

肉類には脂質が多いものもあるため、たんぱく質を摂取したい場合は「種類」や「部位」を意識しましょう。肉類でたんぱく質を多く含むのは、鶏ささみ、鶏むね肉、豚ヒレ肉、牛ヒレ肉、牛もも肉、ラムもも肉などです。

・魚介類

魚介類は、動物性たんぱく質のほか、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)など良質の油も含みます。赤身の魚やイカ、タコ、貝類は脂質が少なめなので、エネルギー量を控えたいときにおすすめです。
魚介類でたんぱく質を多く含むのは、うなぎ(かば焼き)、サバ、サンマ、ブリ、アジ、イワシ、鮭、カツオ、イカ、タコなどです。

・豆類

豆類は、良質なたんぱく質を効率的にとれる食品です。たんぱく質の多い豆製品には、納豆、凍み豆腐、きな粉、湯葉などがあります。

・卵

鶏卵の卵黄は、必須アミノ酸をバランス良く含むため、良質なたんぱく質を摂取できます。

たんぱく質については、以下の記事をご覧ください。

たんぱく質の多い食べ物は?筋トレにいい食品とおすすめの食べ方を紹介

4 ミネラル

ミネラルは、人間の体を作る約60種類の元素のうち、主要元素と呼ばれる酸素、炭素、水素、窒素以外の元素の総称です。ミネラルは体内の量に応じて「多量(主要)ミネラル」と「微量ミネラル」に分けられます。
中でも体にとって必要不可欠な16種類が「必須ミネラル」です。ミネラルは体内で作ることができないため、常に食事で摂取する必要があります。

■必須ミネラルの種類と働き

種類 主な働き 多く含む食品
多量(主要)ミネラル ナトリウム ・浸透圧を調整する ・食塩
・しょうゆ
塩素 ・消化を促進する
・胃液の成分になる
・pHのバランスを調整する
・食塩
・海藻
カリウム ・浸透圧を調整する
・ナトリウムを排出する
・神経の興奮性や筋肉の収縮に関わる
・大豆
・アボカド
カルシウム ・歯や骨を丈夫にする
・筋肉の働きや神経の興奮抑制に関わる
・イワシ(丸干し)
・ヨーグルト
マグネシウム ・体温や血圧を調整する
・歯や骨を丈夫にする
・筋肉の働きを助ける
・大豆
・アーモンド
リン ・神経や筋肉を正常に働かせる
・歯や骨を丈夫にする
・豚ヒレ
・大豆
イオウ ・皮膚や髪の毛、爪を丈夫にする ・イイダコ
・あまのり
微量ミネラル ・酸素の運搬や貯蔵を行う ・豚レバー
・あさり
亜鉛 ・味覚を正常に保つ
・生殖機能を向上させる
・牡蠣
・豚レバー
・鉄の吸収や貯蔵を促進する
・酵素の構成成分になる
・イイダコ
・アーモンド
マンガン ・骨を丈夫にする
・酵素の構成成分になる
・栗
・玄米
コバルト ・ビタミンB12の成分になる
・貧血を防ぐ
・チョコレート
・レバー
ヨウ素 ・甲状腺ホルモンの構成成分になる ・昆布
・イワシ
セレン ・抗酸化作用
・酵素の構成成分になる
・イワシ
・ねぎ
クロム ・糖質や脂質の代謝を助ける ・あさり
・牛肉
モリブデン ・酵素の構成成分になる ・レバー
・大豆

5 ビタミン

ビタミンは、人間の体の機能を正常に保つために使われる栄養素です。体内ではほとんど作ることができないため、食品から摂取しなくてはなりません。
ビタミンは、水に溶けず脂肪組織や肝臓に貯蔵される「脂溶性ビタミン」と、血液などに溶け込み代謝に必要な酵素の働きを補う「水溶性ビタミン」に分かれます。

脂溶性ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKです。水溶性ビタミンは、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCです。

■ビタミンの種類と働き

種類 主な働き 多く含む食品
脂溶性ビタミン ビタミンA ・目の健康を維持する
・皮膚や爪を丈夫にする
・抗酸化作用
・鶏レバー
・モロヘイヤ
ビタミンD ・歯や骨を丈夫にする ・カツオ
・イワシ
ビタミンE ・抗酸化作用 ・アーモンド
・西洋かぼちゃ
ビタミンK ・骨を丈夫にする
・血液凝固作用
・納豆
・干し海苔
水溶性ビタミン ビタミンB1 ・糖質の代謝に関わる ・豚ヒレ
・うなぎかば焼き
ビタミンB2 ・糖質、たんぱく質、脂質の代謝に関わる
・皮膚や粘膜を保護する
・成長を促進する
・豚レバー
・うなぎかば焼き
ビタミンB6 ・たんぱく質の代謝に関わる
・皮膚を丈夫にする
・サンマ
・バナナ
ビタミンB12 ・造血作用
・核酸の合成に関わる
・しじみ
・鶏レバー
ナイアシン ・糖質、たんぱく質、脂質の代謝に関わる
・酸化や還元作用に関わる
・たらこ
・鶏むね肉
パントテン酸 ・糖質、たんぱく質、脂質の代謝に関わる
・コレステロールや免疫抗体などの産生に関わる
・鶏レバー
・子持ちガレイ
葉酸 ・たんぱく質の代謝に関わる
・造血作用
・ブロッコリー
・ひよこ豆
ビオチン ・脂質の代謝に関わる
・皮膚や神経組織などを健康に保つ
・イワシ
・鶏卵
ビタミンC ・コラーゲンの生成に関わる
・抗酸化作用
・パプリカ
・柿

五大栄養素をバランス良くとる方法

ここまで、五大栄養素の「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「ミネラル」「ビタミン」の働きと、各栄養素を多く含む食品について紹介してきました。普段の食事では、これらの栄養素を偏りなくとることが大切です。

五大栄養素をバランス良くとる方法については、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」が参考になります。食事バランスガイドでは、以下の6つのグループを適量とることを推奨しています。

食品グループ 食品の例 役割
主食 ごはん、パン、麺類、パスタ 炭水化物の摂取
副菜 野菜、きのこ、いも、海藻 ビタミン、ミネラルの摂取
主菜 肉、魚、卵、大豆 たんぱく質の摂取
牛乳、乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルト カルシウムの摂取
果物 りんご、みかん ビタミン、ミネラルの摂取
菓子、嗜好飲料 ケーキ、ジュース 楽しみのひとつとして適度にとることが望ましい

自分の食生活を上記にあてはめると、「副菜がほとんどとれていない」「嗜好品をよく食べている」といった特徴が見えてきます。極端に多いものや少ないものがあるときは、意識的にコントロールするようにしましょう。
基本的には、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物をバランス良く食べ、菓子や嗜好飲料は控えめにすることが大切です。

栄養バランスの良い食事については、以下の記事をご覧ください。

栄養バランスの良い食事とは?栄養素やおすすめの食品を解説


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五大栄養素をバランス良くとって、健康な毎日を!

「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「ミネラル」「ビタミン」の五大栄養素は、健康的な毎日を送るための食生活の基本です。五大栄養素の働きと、各栄養素を多く含む食品を把握し、毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。
調理や片付けをする余裕がないときは、便利な冷凍宅配弁当の活用もおすすめです。


五大栄養素とは何ですか?
三大栄養素といわれる「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」に「ミネラル(無機物)」「ビタミン」を加えたものが五大栄養素です。どれも人体に欠かせない栄養素であるため、バランス良く摂取する必要があります。
ミネラルとビタミンの違いは何ですか?
ミネラルは元素そのものである無機質ですが、ビタミンは元素から作られる有機化合物です。
また、ミネラルは体のさまざまな機能を調節・維持し、ビタミンは生命を維持する働きがあります。

監修清水加奈子
管理栄養士、国際中医薬膳師、国際中医師。栄養学・中医学・薬膳の専門知識を持つフードコーディネーターとして、多数のメディアでダイエットレシピの提案や監修で幅広く活躍中。
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