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公開日:2023.06.28
更新日:2024.10.29
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脂質とは?脂質の多い食べ物や摂取量の目安、おすすめレシピを紹介

脂質は糖質、たんぱく質と並ぶ三大栄養素のひとつです。食事からとる脂質は、多すぎても少なすぎても体に悪影響を及ぼすおそれがあります。
ここでは、脂質の摂取目安量と、脂質が含まれる食べ物、上手な脂質の摂取方法について解説します。

目次

脂質とは、エネルギー産生栄養素のひとつ

脂質は、糖質、たんぱく質と同様に、私たちの体にとって重要なエネルギー産生栄養素のひとつです。体内では水分の次に多く含まれ、体内でエネルギー源として使われるほか、ホルモンや細胞膜を作ったり、皮下脂肪として蓄えられて体を急激な温度差から守ったりします。

脂質には、単純脂質(中性脂肪など)、複合脂質(リン脂質、リポたんぱく質など)、誘導脂質(コレステロール、脂肪酸、ステロイドなど)があります。

これらを図にまとめると、以下のようになります。

脂質

ここでは、健康への影響について耳にすることが多い、誘導脂質のコレステロールと脂肪酸について、詳しく解説します。

コレステロール:細胞膜などの材料になる脂質のひとつ

コレステロールは、副腎皮質ホルモンをはじめとしたホルモンや細胞膜を作るという重要な働きをしている脂質です。また、コレステロールの7~8割は体内で糖や脂肪から合成されており、2~3割は体外から取り入れられています。
コレステロールには、悪玉コレステロールと呼ばれる「LDLコレステロール」と、善玉コレステロールと呼ばれる「HDLコレステロール」があり、それぞれ働きが異なります。

・LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
LDLコレステロールの役割は、肝臓で作られたコレステロールを体内の各部へ運ぶことです。増えすぎたLDLコレステロールは、血管壁に溜まって脳や心臓に悪影響を与えるおそれがあります。
LDLコレステロールの正常範囲は140mg/dl未満で、140mg/dl以上は高LDLコレステロール血症とされます。

・HDLコレステロール(善玉コレステロール)
HDLコレステロールは、細胞内や動脈内に溜まっている、不要なコレステロールを取り込んで肝臓に戻す働きがあることから、善玉コレステロールと呼ばれます。

このように、コレステロールと一口にいっても同じ働きをしているわけではありません。健康なとき、人間の体内にあるLDLコレステロールとHDLコレステロールは良いバランスを保ち、血液中のコレステロールが増えすぎないよう調整しています。

脂肪酸:ほかの物質と結合して脂質を作る

脂肪酸は脂質の主要な構成要素のひとつで、ほかの物質と結合して脂質を作っています。
脂肪酸にもさまざまな種類がありますが、代表的なのは「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つです。不飽和脂肪酸は、魚や植物の脂に多く含まれる脂肪酸で、「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。

・飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は、乳製品、肉などの動物性脂肪や、ココナッツオイルなどに多く含まれる脂肪酸です。エネルギー源になりやすい半面、一般的に過剰摂取しやすく、悪玉であるLDLコレステロールを上昇させて健康リスクを高めます。日本人の摂取量の中央値をもとに、摂取目標量の上限値が決められています。

・一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸には、n-9系脂肪酸(オレイン酸)などがあり、動物性脂肪やオリーブ油などの植物油に多く含まれます。食べ物から摂取するほか、体内で合成することもできます。そのため、摂取目安量や目標量はありません。

・多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は、α-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、IPA(イコサペンタエン酸)などの「n-3系脂肪酸」と、リノール酸、アラキドン酸、γ-リノレン酸などの「n-6系脂肪酸」に分けられます。α-リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸は体内で合成できないか、合成できても必要量を満たせないため、食物から摂取する必要がある必須脂肪酸です。

脂肪酸について図にまとめると、以下のようになります。

脂肪酸


脂質の摂取量の目安

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、総摂取エネルギーに占める、脂質からの摂取エネルギーの割合(脂肪エネルギー比率)の目標量を、男女問わず「20%以上30%未満」としています。また、飽和脂肪酸の摂取目標量は、18歳以上の男女で総摂取エネルギーの7%相当以下です。

一方、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2019年)では、20歳以上の男性の約35.0%、20歳以上の女性の約44.4%が脂肪エネルギー比率30%を超えていました。さらに、飽和脂肪酸の平均摂取量も20歳以上の日本人で総摂取エネルギーの8.4%となり、目標量を超えています。


脂質の多く含まれている食べ物

脂質は、調理油や肉類など身近な食べ物に多く含まれています。脂質の量だけでなく種類にも気を配ると、さらに健康的な食事をとることができます。良質な脂質を適切な量摂取できるよう、脂質を含む食べ物やその種類を知っておきましょう。

油、調味料

油のうち、植物油は不飽和脂肪酸、動物油は飽和脂肪酸を多く含みます。
植物油には、ひまわり油、サフラワー油、えごま油、ごま油、オリーブ油、なたね油、ぶどう油などがあります。また、マーガリンやマヨネーズなどに使われているのも植物油です。パーム油やココナッツオイルは植物油ですが、飽和脂肪酸が多く含まれています。ただし、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸(MCT)も多く含まれているため、量に気をつけて摂取しましょう。
動物油には、ラード、バター、牛脂などがあります。

肉類

肉類には飽和脂肪酸が多く含まれています。特に脂身や鶏肉の皮の部分は食べすぎないようにしましょう。ソーセージやベーコンなどの加工品や、ひき肉にも注意が必要です。

魚類

魚の脂には、不飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸が多く含まれる魚には、マグロ類、サンマ、マイワシ、サバ、ハマチ、カツオなどがあります。

卵類

卵は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方を含んでいます。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸ともに、卵白よりも卵黄に多く含まれています。

乳製品

乳製品には飽和脂肪酸が多く含まれています。牛乳よりも、生クリームやチーズ、コーヒーホワイトナー(コーヒーフレッシュ)などの加工品のほうが飽和脂肪酸を多く含むため、特に注意が必要です。低脂肪や無脂肪のものを選ぶと、飽和脂肪酸の摂取量を抑えられます。

穀類

穀類で注意が必要なのは、材料や調理方法によって脂質の種類や量が異なる加工品です。フランスパンよりもバターを多く使ったクロワッサン、蒸し中華麺よりも油で揚げた即席中華麺のほうが飽和脂肪酸を多く含んでいます。

ナッツ(種実)類

アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、クルミ(ウォルナッツ)といったナッツ(種実)類には不飽和脂肪酸が多く含まれています。塩分が気になる場合は、無塩のものを選びましょう。

そのほかの食べ物

アボカドや大豆油には、不飽和脂肪酸が多く含まれています。大豆を使った食べ物には、油揚げや高野豆腐、きな粉などがあります。


調理におすすめの油

調理に使う油は、不飽和脂肪酸を含むものがおすすめです。n-9系脂肪酸を摂取するためにも、植物系の油を選ぶといいでしょう。n-3系脂肪酸は熱に弱く酸化しやすいため、ドレッシングなどに使うのが適しています。

■不飽和脂肪酸を含む油

n-3系脂肪酸
えごま油、あまに油、なたね油 など
n-6系脂肪酸
サフラワー油、ぶどう油、ひまわり油、綿実油、ごま油、大豆油、とうもろこし油 など
n-9系脂肪酸
オリーブ油、こめ油、ひまわり油、なたね油、牛脂 など

上手な脂質の摂取方法

食べ物や調理法に注意すれば、脂質の摂取量を減らすことができます。また、悪玉であるLDLコレステロールが気になる場合は、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸を選んでみてください。

肉よりも魚を選び、肉は部位に注意する

魚の脂は、不飽和脂肪酸であるDHAやEPAを多く含む良質な脂質です。肉を減らして魚を多めにとるようにしましょう。肉を食べるときは、バラよりも脂身の少ないもも肉やヒレ肉を選びます。

調理に油を使わない

揚げ物や炒め物よりも、煮物や蒸し料理のほうが脂質の摂取量を減らすことができます。炒め物や揚げ物をする際は、熱に弱いn-3系脂肪酸を含む油よりも、n-6系脂肪酸やn-9系脂肪酸を含む油を使いましょう。肉の場合、グリルや下茹でをして脂を落とすのも効果的です。

加工品や調味料の脂質にも注意する

加工品は、製造過程で油脂を追加している場合があります。栄養成分表示には脂質が必ず表示されているので確認してみてください。
ドレッシング、マヨネーズ、ソースなど、脂質を含む調味料の使いすぎにも注意しましょう。


管理栄養士が選ぶ、脂質が気になる方におすすめのレシピ

ここからは、脂質が気になる方におすすめのレシピを、管理栄養士の解説とともに紹介します。作りやすいものばかりなので、ぜひ試してみてください。

キーマカレー

キーマカレー

画像の出典:ほほえみごはん 【キーマカレー】お弁当に入れやすく冷凍もできる簡単レシピ!1ヵ月保存もOK

カレー粉はカレールウよりも脂質が少ないため、カレー粉で仕上げるキーマカレーは脂質が気になる方におすすめです。合いびき肉を鶏ひき肉や赤身の牛ひき肉に替えれば、さらに脂質を抑えられます。

キーマカレーの詳しいレシピは、下記の記事をご覧ください。

ほほえみごはん【キーマカレー】お弁当に入れやすく冷凍もできる簡単レシピ!1ヵ月保存もOK

ホッケ焼き

ホッケ焼き

画像の出典:ほほえみごはん 【ホッケの焼き方】フライパンでふっくらジューシーに仕上げるコツ

魚は不飽和脂肪酸が多いので、ホッケ焼きは脂質が気になる方にもおすすめのレシピです。グリルで脂を落としすぎないよう、フライパンを使いましょう。焼き色をつけて蒸し焼きにすることでふっくら仕上がります。

ホッケ焼きの詳しいレシピは、下記の記事をご覧ください。

ほほえみごはん【ホッケの焼き方】フライパンでふっくらジューシーに仕上げるコツ

小松菜と油揚げの煮浸し

小松菜と油揚げの煮浸し

画像の出典:ほほえみごはん 【小松菜の人気レシピ】油揚げの煮浸し、豚肉炒めなど副菜からメインまで

小松菜と油揚げの煮浸しは、調理油を一切使わないため、脂質が気になる方におすすめのレシピです。油揚げを入れることで旨みとコクが加わり、食べ応えがアップします。

小松菜と油揚げの煮浸しの詳しいレシピは、下記の記事をご覧ください。

ほほえみごはん【小松菜の人気レシピ】油揚げの煮浸し、豚肉炒めなど副菜からメインまで


食事の脂質量を把握したい方におすすめの、簡単でおいしい冷凍宅配弁当

「食事の脂質量を把握したいけど、計算するのが大変」という方は、電子レンジで加熱するだけで簡単に食べられる冷凍宅配弁当を取り入れてみてはいかがでしょうか。

ニチレイフーズダイレクトの「きくばりごぜん」は、エネルギー300kcal以下、食塩相当量2.0g以下、野菜使用量100g以上(いも類、きのこ類、海藻類、豆類を含む)の冷凍宅配弁当。和洋中の豊富なメニューがあり、野菜や魚だけでなくお肉を使ったメニューも楽しめます。
調理の手間も後片付けも不要なので、忙しい方にもおすすめです。

「きくばりごぜん」脂質を控えたい お試し4食セットについては、下記のページをご覧ください。


材料や調味料、調理方法を工夫して、良質の脂質を多くとろう

脂質は、体に欠かせない栄養素です。極端に制限せず、材料や調味料、調理方法を工夫して良質な脂質をとるようにしましょう。
脂質量を把握できる手軽でおいしい冷凍宅配弁当も利用しながら、栄養バランスの良い食生活を目指してみませんか。


脂質が多い食べ物は?
脂質は、植物油や牛脂、肉類、卵類、乳製品などに多く含まれています。魚やナッツ類など、不飽和脂肪酸を多く含む食べ物を選びましょう。
脂質の摂取量の目安は?
総脂質からの摂取エネルギーが総摂取エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)の目標量は、男女問わず「20%以上30%未満」です。

監修清水加奈子
管理栄養士、国際中医薬膳師、国際中医師。栄養学・中医学・薬膳の専門知識を持つフードコーディネーターとして、多数のメディアでダイエットレシピの提案や監修で幅広く活躍中。
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