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健康的な生活を送るには、食事から栄養を摂取するだけではなく、誰かといっしょに食事を楽しむことが大切です。世帯構造の変化やライフスタイルの多様化によって一人で食事をする「孤食」が増える中、心身の健康を維持するにはどうすれば良いのでしょうか。
本記事では、孤食の原因や問題点のほか、解決方法について解説します。
孤食とは、一人で食事をとる孤独な食事のこと
孤食とは、「孤独な食事」という意味です。家族がおらず一人で食事をとることや、家族がいるにもかかわらず一人で食事をすることを表します。
現在、さまざまな原因から孤食をする人が増加しており、孤食が心身に及ぼす影響が問題になっています。
孤食の現状
農林水産省がまとめた「平成29年度 食育白書」によれば、家族と同居していて家族と「ほとんど毎日」いっしょに食事を食べると回答した人は6割程度でした。
一方、一日のすべての食事を一人で食べる頻度が「ほとんど毎日」と回答した人は11.0%、「週に4~5日ある」と回答した人は4.3%で、週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べている孤食の人は約15%です。年代別に見ると、孤食が「ほとんど毎日」は70歳代の女性で26.0%、20歳代の男性で25.4%と、4人に1人に上りました。
また、一人で食事をすることについては「一人で食べたくないが、仕方ない」「いっしょに食べる人がいないため、仕方ない」との答えが多くを占めており、望んでいないのに孤食になっている人が多いことがわかります。
孤食の原因
孤食の実態の背景には、社会構造や環境の変化など、さまざまな原因があります。代表的な原因は下記の3点です。
・世帯構造の変化
高齢者の一人暮らしをはじめとした単身世帯、夫婦のみの世帯、ひとり親世帯など、孤食にならざるをえない家庭が増加しています。
・家族の生活時間帯の夜型化
共働きで親の帰りが遅い、子供が塾や習い事、アルバイト、サークル活動で帰りが遅いなど、家族の生活時間帯が全体的に夜型化してばらばらになり、家族みんなで食事の時間を合わせることが難しくなりました。
・食事に対する価値観の多様化
生きるために食べていた時代から飽食の時代になり、「とにかくおいしい物を食べたい」「自分の信じる思想に沿った物を食べることが大事」など、人によって食事の意味が多様化しました。食べる物、食べたい物が人によって異なるため、皆で食卓を囲むことが難しくなっています。
増えている7つの「こ食」
ここまで、一人で食事をする孤食の意味と現状について解説してきました。
食にまつわる問題として注目される「こ食」は、孤食以外にもいくつかの種類があるといわれています。ここでは上記の孤食も含め、代表的な7つの「こ食」について説明します。
1 孤食
「孤食」は、前述したとおり「家族が不在の食卓で、望んでいないのに一人で食事をすること」です。コミュニケーションの機会が少ないため、社会性や協調性が育ちにくく、失われやすいといわれています。また、栄養バランスの偏りも指摘されています。
2 個食
家族がそろって食卓を囲んでいても、それぞれ違う物を食べている状態を「個食」といいます。孤食と異なりコミュニケーションをとる相手はその場に存在していますが、味を共有することができず、会話が広がりにくいでしょう。
個食が続くと協調性が損なわれ、好き嫌いが増えて栄養が偏りやすくなります。
3 子食
「子食」は、子供だけで食事をすることです。親が仕事で帰宅が遅い、塾や習い事、アルバイト、サークル活動などで忙しく食事の時間が不規則といった子供に多い傾向があります。栄養バランスが崩れて心身の発達に影響を及ぼすことのほか、食事のマナーを知らないまま育つこと、好き嫌いが激しくなって肥満のリスクが増大することなどが懸念されます。
4 小食
「小食」は、食事の量が少ないことです。子供や若者の小食は、成長に必要な栄養素の不足につながり、体力・気力の低下を引き起こします。高齢者の場合は、低栄養で身体機能が低下するおそれがあります。食欲がない人や、ダイエットで極端に食事量を減らしている人は注意が必要です。
5 固食
好きな物、手に取りやすい物ばかり食べていると、メニューが固定化されてしまいます。これが「固食」です。同じ物ばかり食べるため好き嫌いが改善されず、栄養が偏る可能性があります。
6 濃食
「濃食」は、濃い味付けの物ばかり食べることを指します。濃食が続くと繊細な味覚が育ちません。また、塩分や糖分をとりすぎることにも注意が必要です。
7 粉食
粉から作られたパンや麺類などばかりを好んで食べることを、「粉食」といいます。粉ものは食感がやわらかく、あまり噛まなくても飲み込めるため、噛む力が育ちません。また、粉ものだけでおなかが膨れ、副菜で野菜などをとりづらいことも難点です。
孤食の問題点
上記の7つの「こ食」の中でも、孤食はとりわけ問題視されています。なぜなら、孤食はほかの「こ食」を招くことがあるからです。ここでは、孤食の問題点について整理してみましょう。
栄養バランスが崩れる
先の「平成29年度 食育白書」によると、孤食が週2日以上の人よりも孤食がほとんどない人のほうが、主食・主菜・副菜を3つそろえて食べる機会が多く、食事の栄養バランスが良いことがわかっています。また、孤食が週2日以上の人よりも孤食がほとんどない人のほうが、朝食を食べる割合が高いという結果も出ています。
食事の栄養バランスが崩れると、健康上のリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。
子供たちの肥満・やせ、体力低下につながる
成長期の子供にとって、食事は発育・発達のカギを握る重要な習慣です。
乳幼児(※1)と小学生(※2)を対象とした研究からは、家族をはじめ、誰かといっしょに食事をとる機会が多い子供ほど主食・主菜・副菜のバランスが良い食事をしていることがわかっています。また、中学生では、孤食が少ない子供のほうが、摂取する食品が多様であることも明らかになっています(※3)。
- ※1 黒川通典、角谷千尋、吉田幸恵「乳幼児の朝食と夕食の共食頻度とその関連要因」(2013年)
- ※2 林達也、永井雅人、小宮秀明、武藤孝司「朝食における「主食」「主菜」「副菜」の摂取状況とライフスタイルとの関連性」(2009年)
- ※3 川崎末美「 食事の質,共食頻度,および食卓の雰囲気が中学生の心の健康に及ぼす影響 」(2001年)
一方、共働き家庭の増加をはじめとしたライフスタイルの変化や通塾率の増加などにより、家族がそろって夕食を食べる機会は減少の一途をたどっています。
その結果、小児期の肥満、思春期の極端なやせなどが増えて健康上のリスクとなっているほか、深刻な体力低下も懸念されています。
また、精神的な不調の原因になることも無視できません。将来に対する不安や動揺を抱きやすい思春期に、家族といっしょに過ごすことによる安心感や信頼感を十分に味わうことができないと、自己評価が低くなる可能性があります。
コミュニケーション能力が育ちにくい
食事には、社会的、文化的な営みとしての側面があります。他者とのコミュニケーションはそのひとつです。
「おいしいね」「この味付けはいいね」といった食事にまつわる感想や、家族一人ひとりがそれぞれ経験した今日の出来事などを話しながら食べることで、人への共感性、協調性、傾聴力、会話力などが磨かれます。
しかし、孤食ではコミュニケーションの相手がおらず、その能力を育てることができません。結果として自己中心的な性格が形成され、社会に出たときに周囲と良好な関係が築けなくなる可能性があります。
食事のマナーを教わる機会がない
子供の頃、箸の使い方や、「いただきます」「ごちそうさまでした」の挨拶について、食事をしながら家族に教わった人は多いでしょう。みんなで囲む食卓は、最低限求められる食事のマナーを次世代に伝えていく場所でもあります。
孤食ではその機会を作ることができないため、子供たちはそれがマナー違反であることを知らずに刺し箸や迷い箸をしたり、ひじをついて食べたりするようになるかもしれません。正しいマナーを教わらないまま育つと、いっしょに食べる相手に不快な思いをさせて対人関係に影響を及ぼします。
また、そうした人が増えることは、日本の伝統的な所作が失われる原因にもなります。
孤食の問題を解決する方法
孤食の問題を解決するには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、すぐに実践できる解決方法を5つご紹介します。
栄養バランスの良い食事を用意する
孤食の最大の問題点は、好きな物ばかり食べたり欠食が増えたりして栄養が偏ることです。心身の発達を促し、健康的な生活を送るために、食事の栄養バランスを改善しましょう。
特に子供のうちは、すこやかな成長・発達のため、バランス良く栄養をとらなくてはなりません。しかし、孤食の子供だけの食卓では、どうしても食べる物が偏ります。自分で料理を作ったり、お惣菜を買って副菜を足したりできないうちは、保護者が食事の栄養バランスを意識しましょう。
子供の食事に気を配り、必要な栄養素をまんべんなく摂取できるように配慮して、食卓を整えることが大切です。
調理や片付けの時間を減らし、いっしょに食べる時間を増やす
家族との食事の時間を減らして家事の時間を確保している場合は、調理や片付けにかかる時間を短くすることで食事の時間が増やせます。お惣菜を買ってスープだけ作る、冷凍食品やお弁当を活用するなどして調理の時間を省き、家族との食事の時間を増やしましょう。
食洗機をはじめとした便利な時短家電を導入し、片付けの時間を削減することもおすすめです。
休日には意識して家族で食事をする
家族みんなが休みの日は、意識して家族団らんの時間を設けましょう。「休みの日は長めに寝ていたい」「テスト勉強をしたい」といった家族それぞれの事情もあるため、折にふれて「休日にはいっしょにご飯を食べよう」「明日は◯時から朝食だよ」といった声かけをしておくとスムーズです。
朝食をいっしょに食べる
夜は残業や塾、部活、アルバイト、サークル活動などで家族の帰宅時間がばらばらで、朝のほうが家族の時間を合わせやすい場合は、朝食をいっしょに食べることもおすすめです。朝、少し早く起きるようにしたり、身支度の順番を変えたりして、食卓に集まれるように工夫してみてください。
共食の場に参加する
一人で食べる孤食に対して、誰かといっしょに食べることを「共食(きょうしょく)」といいます。家庭内で共食の機会を持つことが難しい一人暮らしの人は、所属する組織(会社や地域のコミュニティなど)や、高齢者向けのサロンなどが実施する食事会に参加してみてください。
家庭での共食が困難な子供に対しては、地域住民などが主体となって食事を提供する「子供食堂」など、共食の機会を提供する取り組みが増加しています。どうしても子供一人で食事せざるをえない場合、こうした共食の場に参加することも解決方法のひとつです。
手軽に栄養バランスが整う冷凍宅配弁当も有用
孤食の大きな問題点である栄養バランスの偏りを解決するためには、さまざまな食品をとる必要があります。
ニチレイフーズダイレクトの「気くばり御膳Ⓡ」は、管理栄養士監修のもと、全メニューで野菜を100g以上使用している栄養バランスに配慮した冷凍宅配弁当です。和洋中の主菜がそろっているため、バラエティ豊かな食事が楽しめます。インターネットで注文して、離れて暮らす家族に送ることもできます。
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「気くばり御膳Ⓡ」お試し4食セットについては、下記のページをご覧ください。
孤食の問題を解決して、共食を楽しもう
望まない孤食は、心と体の健康に悪影響を及ぼします。休日の共食を意識する、共食の場に参加するなど、孤食がもたらす問題を解決して共食を楽しむ機会が増やせるといいですね。
どうしても孤食になってしまうときや、忙しくて家族との食事の時間が作れないときは、冷凍宅配弁当を活用して、手軽に栄養バランスの良い食事をとりましょう。
- 孤食の原因は?
- 孤食の代表的な原因としては、単身世帯や夫婦のみの世帯、ひとり親世帯の増加といった世帯構造の変化が挙げられます。また、家族の生活時間帯の夜型化、食事に対する価値観の多様化も孤食の原因となっています。
- 孤食の問題点は?
- 孤食の問題点は、食事の栄養バランスが崩れて健康に悪影響を及ぼすことです。また、子供にとっては肥満・やせ、体力低下、コミュニケーション能力が育ちにくい、食事のマナーを教わる機会がないといった問題もあります。