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健康診断や人間ドックの目的は、自分の体の状態を客観的に知ることです。さまざまな基準値や指標をもとに、機能が低下している部分や、詳しく検査すべき部分を把握することができます。
「BMI」は健康診断や人間ドックにも使われる基準値のひとつで、体型を定義する数値です。
本記事では、BMIを知ることによってわかることと、目指すべき基準値の考え方、肥満・やせの場合に注意すべきことなどについて詳しく解説します。
BMIとは、肥満や低体重を判定するための体格指数
BMI(Body Mass Index)とは、身長と体重を手掛かりとして肥満や低体重を判定するために国際的に使われている体格指数です。健康診断や人間ドックの結果を見ると、身長や体重の近くに記載されています。
太りすぎがさまざまな疾患の原因になることはよく知られているため、BMIの数値が高い人は肥満と診断され、肥満のレベルによっては生活習慣を見直すための保健指導の対象になります。
ただし、体重が健康に及ぼす影響は、太りすぎによるものだけではありません。やせすぎも体にさまざまな問題を引き起こすことがわかっており、BMIが「やせ」に該当すると判定された人も生活習慣を見直す必要があります。
体重をコントロールする際には、脂質異常症や糖尿病、高血圧などの病気に最もかかりにくいといわれる「標準体重」を目安にすると良いといわれています。標準体重は、BMIが22になるときの体重です。
BMIの計算方法
BMIは、以下の計算式で求められます。
<BMIの計算式>
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
また、前項でふれた標準体重は、身長(m)を2乗した値に、最も病気になりにくいBMI指数22を掛けることで求められます。
<標準体重の計算式>
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
BMIの目安
BMIの計算式は世界のどの国でも共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なります。WHO(世界保健機関)の基準では、30以上が「Obese(肥満)」です。
日本の成人の場合、日本肥満学会が定めた基準にもとづいて、以下のように診断します。
<やせ・普通体重・肥満の基準>
・BMI18.5未満:やせ
・BMI18.5以上25未満:普通体重
・BMI25以上:肥満
また、肥満はその程度に応じて、以下のように区分されます。
<肥満度分類>
・BMI25以上30未満:肥満(1度)
・BMI30以上35未満:肥満(2度)
・BMI35以上40未満:肥満(3度)
・BMI40以上:肥満(4度)
注意したいのは、BMIはあくまでも身長と体重から算出した数値で、個人の筋肉量や年齢は考慮されていないことです。
一般的に、筋肉量が増えると体重も増えます。そのため、BMI25以上のすべての人が減量しなければならないわけではありません。同じ身長・体重でも、脂肪のつきすぎで体重が増えている場合は減量して改善する必要がありますが、筋肉によって増えている場合はそのままでも減量の必要がないことが多いのです。
やせであったとしても、実は脂肪が多くついていて体脂肪率が高かったり、筋肉量が少なかったりする例も少なくありません。
BMIは便利な数値ですが、それだけで体型や健康状態を判断することは避けましょう。
BMIの目標値は年齢によって異なる
年齢によって、BMIの目標値は異なります。年齢を重ねると身長は縮み、筋肉量も減少するため、若いときと同じBMIを基準に体重をコントロールしていると、やせすぎてしまう可能性があるからです。
糖尿病や高コレステロール血症など、体重増加と深い関わりがある疾患を患っている人は、年齢が上がっても肥満を気にする必要があります。年齢に合ったBMIの基準値を参考に、適切な体重管理に努めましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳以上のBMIの範囲を以下のように定めています。
■目標とするBMIの範囲(18歳以上)
年齢(歳) | 目標とするBMI |
---|---|
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65~74 | 21.5~24.9 |
75以上 | 21.5~24.9 |
BMIの上限はどの年齢も同じですが、下限は変わります。特に65歳以上からは、低体重によるフレイル(虚弱)予防のため、目標値はBMI21.5以上です。
子供の肥満度の計算方法
BMIは成人のみに用いられる指標です。5~17歳の子供の肥満を判定する場合は、「肥満度」が使われています。肥満度は、実測した体重が標準体重を何%上回っているかを示すもので、以下の式で計算されます。
<子供の肥満度の計算式>
肥満度(%)=100×(現在の体重-標準体重)÷標準体重
<子供の標準体重の計算式>
標準体重=a×身長(cm)-b
標準体重は、文部科学省の「学校保健統計調査」(2000年)のデータにもとづく年齢・性・身長別標準体重を使って求めます。ここでは、男女17歳までのデータを以下に示します。
■年齢・性・身長別標準体重(5~17歳)
年齢(歳) | 男子 | 年齢(歳) | 女子 | ||
---|---|---|---|---|---|
a | b | a | b | ||
5 | 0.386 | 23.699 | 5 | 0.377 | 22.750 |
6 | 0.461 | 32.382 | 6 | 0.458 | 32.079 |
7 | 0.513 | 38.878 | 7 | 0.508 | 38.367 |
8 | 0.592 | 48.804 | 8 | 0.561 | 45.006 |
9 | 0.687 | 61.390 | 9 | 0.652 | 56.992 |
10 | 0.752 | 70.461 | 10 | 0.730 | 68.091 |
11 | 0.782 | 75.106 | 11 | 0.803 | 78.846 |
12 | 0.783 | 75.642 | 12 | 0.796 | 76.934 |
13 | 0.815 | 81.348 | 13 | 0.655 | 54.234 |
14 | 0.832 | 83.695 | 14 | 0.594 | 43.264 |
15 | 0.766 | 70.989 | 15 | 0.560 | 37.002 |
16 | 0.656 | 51.822 | 16 | 0.578 | 39.057 |
17 | 0.672 | 53.642 | 17 | 0.598 | 42.339 |
「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、子供の肥満を「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態」と定義しています。有意な体脂肪率増加の基準は、男児は年齢を問わず25%以上、女児は11歳未満が30%以上、11歳以上が35%以上です。
肥満(BMI25以上)の人が注意すべきこと
BMI25以上は、減量を検討すべきラインです。BMIが25以上になると、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態を指す肥満と診断され、健康リスクが高まります。
同じBMIでも、脂肪がついている場所によってリスクの大きさは異なるため、以下に紹介する肥満のタイプ、および体脂肪計などで把握できる体脂肪率なども参考に自分の体型を把握し、必要に応じて体重のコントロールを始めましょう。
肥満のタイプは、以下の2つに分けられます。
<肥満のタイプ>
・内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)
内臓脂肪型肥満は、リンゴ型肥満とも呼ばれています。腹腔内の腸間膜など内臓周りに脂肪がつくため、ウエスト周りが大きくなるという特徴があります。健康上のリスクが高いため、注意が必要です。
・皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)
皮下脂肪型肥満は洋ナシ型肥満とも呼ばれています。皮下脂肪がお尻や太ももなど下半身中心につき、肉付きが良くなるのが特徴です。比較的女性に多く見られます。
内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)と皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)の特徴をまとめると、以下のようになります。
内臓脂肪型肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が重なると、心臓病や脳卒中などになりやすい「メタボリックシンドローム」と診断されます。
では、BMI25以上と診断されたら、具体的に何をすれば良いのでしょうか。
一般的には、油脂類をほとんどとらない、食事量を極端に制限するといった方法で体重を減らすことは避けるべきです。肥満の予防・治療において最も重要な点は、食事から摂取するエネルギー量と、運動によって消費するエネルギー量のバランスをとること。つまり、摂取エネルギーを適正にすることと、消費エネルギーを増やすことに取り組みましょう。
適正エネルギー量は、以下の計算式で算出します。
<適正エネルギー量の計算式>
適正エネルギー量=標準体重(身長(m)×身長(m)×22)×身体活動量
■身体活動量
低い(座っていることが多い人) | 25~30kcal |
---|---|
普通(軽い運動や散歩などをする人) | 30~35kcal |
高い(立ち仕事が多い人や活発に運動する人) | 35~40kcal |
算出した適正エネルギー量を目安として、食事内容を工夫してエネルギー摂取量を減らしたり、適度な運動を取り入れてエネルギー消費量を増やしたりすると、適正体重を維持することができます。
摂取エネルギーの調整において、特に重要なことは以下の3点です。
<摂取エネルギーの調整で重要なこと>
・食べすぎない
食べすぎにより摂取エネルギーが消費エネルギーより上回ると、余ったエネルギーが脂肪に変わって蓄積されます。
・まとめ食いや早食いをしない
食事を1食抜いて次の食事でまとめ食いをすると、食べる量が増えて肥満につながりやすくなります。早食いも、満腹中枢が刺激される前に食べ物をとりすぎて肥満につながるため、改善が望ましいです。
・バランスの良い食事をする
特定の食品を食べない、食事量を極端に減らすといった、無理なダイエットはやめましょう。食事のバランスが偏ると摂取する栄養素にも偏りが出て、かえって健康リスクが高まります。
やせ(BMI18.5未満)の人が注意すべきこと
BMI18.5未満の人はやせに該当し、普通体重よりも健康リスクが高まります。やせに該当する場合は、食事や運動といった生活習慣の見直しによる適正体重の維持が必要です。
やせの理由は多岐にわたり、甲状腺機能亢進症などによるエネルギー消費量の増加のほか、慢性疾患による栄養素の損失や食欲不振、精神疾患による食欲不振などが考えられます。中でも近年多く見られるのが、「細さ」を美の基準とする価値観により、過剰なダイエットに取り組んでやせになる人です。
2019年に厚生労働省が行った国民健康・栄養調査では、BMIが18.5未満のやせは20歳代女性で20.7%でした。過度なダイエットは、体型に対する誤った認識、根拠のあいまいなダイエット法などによって行われていることも多く、やせは潜在的な栄養不良の状態であることが少なくありません。
栄養不良の状態が続くと、筋肉量が低下して基礎代謝量が落ち、かえってやせにくくなります。また栄養素の偏りで鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血によるだるさや疲れやすさを感じるようになり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
女性の場合は、月経異常や無月経などにも注意が必要です。女性ホルモンの分泌が正常に行われなくなるため、骨量が低下したり、さまざまな不調に襲われたりする可能性があるでしょう。低血圧、不整脈などが起こるリスクもあります。
買い物や料理が難しいときは、冷凍宅配弁当も活用しよう
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BMIを目安のひとつに、健康的な体型を維持しよう
BMIは、肥満ややせを判定する体格指数です。BMIだけで体型の良し悪しを判断することはできませんが、基準のひとつとして活用することで、健康的な体型の維持に役立ちます。
BMIの維持・改善には、規則正しい食生活が不可欠です。便利な冷凍宅配弁当も活用しながら、無理なく体重をコントロールしていきましょう。
- BMIの計算方法は?
- BMI(Body Mass Index)とは、身長と体重を手掛かりとして肥満や低体重を判定するために国際的に使われている体格指数です。体重をコントロールする際には、「標準体重」を目安にすると良いといわれています。標準体重は、BMIが22になるときの体重です。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求めることができます。
- BMIはどのくらいが普通?
- 日本肥満学会が定めた基準では、BMI18.5以上25未満が普通体重です。BMI18.5未満はやせ、BMI25以上は肥満と診断されます。