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公開日:2023.09.05
更新日:2024.02.16
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食物繊維の多い食べ物とは?適正摂取量やおすすめの食べ方を解説

食物繊維には腸内環境をととのえる働きがあり、便秘の予防や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下に役立つことが知られています。ご自身の食生活できちんと食物繊維がとれているのか、気になっている方は多いでしょう。
普段の食事でしっかり食物繊維をとるには、どんな食べ物が良いのでしょうか。本記事では、適正摂取量やおすすめの食べ方と併せて、食物繊維の多い食べ物をご紹介します。

目次

食物繊維は、整腸作用などがある「第6の栄養素」

食物繊維とは、食べ物に含まれている成分のうち、人の消化酵素で消化することができない成分です。
食物繊維には、整腸作用や脂質・糖質・ナトリウムの排出を助ける働きがあり、健康を維持する上では非常に有用です。そのため、たんぱく質や糖質に次ぐ、「第6の栄養素」ともいわれています。

しかし、日本人の食物繊維摂取量は減少しています。これは食生活の変化により、食物繊維を多く含む食べ物の摂取量が減ったためです。健康を維持するためには、食物繊維を意識してとる必要があります。


食物繊維の種類

食物繊維というと、ごぼうやセロリなどに代表される、筋状の繊維質を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際には、ネバネバしたものとサラサラしたものがあり、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けることができます。
それぞれ特徴や体内で果たす役割が異なるため、どちらかに偏らずバランス良くとることが大切です。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、保水性があり、ゼリー状になる点が特徴です。ゼリー状になった食物繊維には粘性があり、食事で多く摂取し過ぎたナトリウムやコレステロールを体内で吸着して、スムーズに体外へと排出します。また、脂質や糖質、ナトリウムといった栄養素の吸収をゆるやかにしたり、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたりする効果が期待できるのです。
主な水溶性食物繊維には、下記のようなものがあります。

・ペクチン
ペクチンは果実や野菜などの植物に含まれ、適量の糖類と酸を混ぜて温めるとゼリー状になる性質があります。そのため、ゼリーやジャムに使われています。ただし、未熟の果実に含まれるペクチンには不溶性食物繊維のものもあります。

・グルコマンナン
グルコマンナンは水を吸うと膨張し、粘度が増します。この性質を利用して作られているのがこんにゃくです。

・アルギン酸
アルギン酸は海藻類に含まれる食物繊維で、ネバネバした食感のもとです。食品のほか医薬品、化粧品などにも使われます。

・フコイダン
フコイダンは、もずく、ひじき、わかめ、昆布などの海藻類に含まれる多糖類(いくつかの糖類がつながったもの)で、粘り気が強い成分です。

・β-グルカン
β-グルカンは穀類やきのこ、海藻などに含まれている食物繊維の一種で多糖類です。このうち、大麦由来のβ-グルカンは、食後の血糖値の上昇を穏やかにすることが報告されています。

不溶性食物繊維

水に溶ける水溶性食物繊維に対して、不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らみます。すると、便のカサが増えて大腸が刺激され、ぜん動運動が高まって便通をととのえるといわれています。
主な不溶性食物繊維は下記のとおりです。

・セルロース、ヘミセルロース
セルロースは、植物細胞の細胞壁や繊維の主成分で穀類の外皮の多くに含まれ、不溶性食物繊維の多くを占めます。ヘミセルロースは、植物細胞の細胞壁のうち、セルロースとペクチン以外の不溶性食物繊維です。ヘミセルロースは「半繊維質」という意味で、細胞壁でペクチンを包む形で存在します。
セルロールやヘミセルロースを含む食べ物には、ごぼうや小麦ふすま(小麦の表皮部分のことで、小麦ブランとも呼ばれます)、豆類などがあります。

・キチン
キチンは、カニやエビといった甲殻類の甲羅や殻に多く含まれる不溶性食物繊維で、多糖類の一種です。人の消化酵素で消化できないので、食物繊維に分類されます。

・リグニン
リグニンは、セルロースやヘミセルロースと同様に、植物細胞の細胞壁に含まれます。リグニンを含む食べ物には、いちごやラズベリー、西洋梨、カカオ豆、大豆があります。


食物繊維の摂取量の目安

食物繊維の摂取量を増やす際、どれくらいを目標値にすれば良いのでしょうか。

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、食物繊維の1日の食事摂取基準(目標量)は18~64歳で男性21g以上、女性18g以上とされています。対して、現在の18歳以上の日本人が摂取している食物繊維量の中央値は、1日13.7gで、男女共に目標量に達していません。
豆類やきのこ類、海藻類、いも類、穀類、野菜など、さまざまな食べ物を毎食まんべんなく組み合わせることで、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維共に、摂取量を増やすことが大切です。

通常の食事で食物繊維を増やす工夫をしても、とり過ぎることはほぼありません。ただし、不足する食物繊維を補おうとするあまり、サプリメントなどで過剰摂取することには注意が必要です。とり過ぎると下痢症状を起こし、大切なミネラル分まで排出してしまうことがあるからです。
また、果実には果糖が多いため、果実に偏って食物繊維をとろうとすると糖質の過剰摂取につながります。


食物繊維の多い食べ物

食品表示基準によると、食品100gあたり食物繊維を6g以上含む場合、食物繊維を多く含む旨を強調することができます。また、食物繊維を含む旨を表示できる基準は、食品100gあたり食物繊維3g以上です。
ここからは、食品100gあたり食物繊維を6g以上含む「食物繊維の多い食べ物」と、食品100gあたり食物繊維を3g以上含む「食物繊維を含む食べ物」について、カテゴリーごとに紹介します。

穀類

穀類とは、普段の食生活で私たちが主食としているでんぷんが主体の食べ物です。具体的には、米、麦類、あわ、ひえ、きび、そばなどがあります。
食物繊維は精製すると量が減るため、主食は白米よりも玄米にするといいでしょう。大麦を使った麦ごはんにしても食物繊維の摂取量を増やすことができます。オートミールには白米や玄米よりも多くの食物繊維が含まれているため、主食としての代用もおすすめです。
穀類は食べる回数も量も多いため、効率的に食物繊維を摂取することができます。

■食物繊維を含む穀類

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
オートミール 9.4g
ポップコーン 9.3g
半生そば 6.9g
赤米 6.5g
即席中華めん(乾燥) 6.5g
キヌア 6.2g
半生中華めん 6.2g

野菜

野菜にはさまざまな種類がありますが、総じて食物繊維が多く、特に皮ごと食べられる野菜からはたっぷりと食物繊維をとることができます。種類によって、水溶性食物繊維が多いものと不溶性食物繊維が多いものがあるため、偏りなくいろいろな野菜を食べるようにするといいでしょう。野菜は、ビタミンやミネラルをいっしょにとれるのもメリットです。

■食物繊維を含む野菜

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
唐辛子 46.4g
ドライトマト 21.7g
切り干し大根 21.3g
らっきょう 20.7g
グリーンピース(冷凍茹で) 10.3g
おろし生姜 7.4g
大葉 7.3g
枝豆 5.0g
パセリ 6.3g
にんにく 6.2g
スイートコーン(冷凍茹で) 6.2g
モロヘイヤ 5.9g
ごぼう(茹で) 5.7g
芽キャベツ 5.5g
オクラ 5.0g
ブロッコリー 5.1g
大根おろし 5.1g

いも類

いも類は、食物繊維を筆頭に、体のエネルギー源になる糖質など、多様な栄養素を豊富に含む食べ物です。特に、さつまいもには果実に匹敵するほどのビタミンCがたっぷり含まれており、でんぷんの働きで加熱しても壊れにくいのが特徴です。

■食物繊維を含むいも類

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
じゃがいも 9.8g
さつまいも(蒸し焼き) 3.8g
はるさめ(緑豆、乾燥) 4.1g
生いもこんにゃく 3.0g

きのこ類

きのこ類は食物繊維やビタミンB群、ビタミンDなどの栄養素が豊富に含まれています。乾燥すると日持ちがするので、買い置きもおすすめです。

■食物繊維を含むきのこ類

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
きくらげ(乾燥) 57.4g
しいたけ(乾燥) 46.7g
しいたけ(原木) 5.5g
まいたけ 3.5g
エリンギ 3.4g
なめこ 3.4g
ぶなしめじ 3.0g
まつたけ 4.7g
えのきだけ 3.9g

海藻類

海藻類は食物繊維のほかにも、ビタミンやミネラルなどが豊富です。新陳代謝や子供の発育などに関わる「甲状腺ホルモン」の構成成分であるヨウ素も多く含まれています。

■食物繊維を含む海藻類

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
粉寒天 79.0g
ひじき(干しひじき、ステンレス釜、乾燥) 51.8g
カットわかめ(乾燥) 39.2g
刻み昆布 39.1g
青のり(素干し) 35.2g
味付海苔 25.2g
茎わかめ(塩蔵塩抜き、茹で) 5.1g
めかぶわかめ 3.4g

種実類

種実(しゅじつ)とは、食材として使われる種子のうち、穀類と豆類以外の種子のことです。なお、落花生は豆類ですが、種実類に分類されることがあります。

種実類はおやつやおつまみに食べやすい形状で、食物繊維以外にたんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどがたっぷり入っています。ただし、脂質を多く含むため、とり過ぎには注意が必要です。

■食物繊維を含む種実類

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
チアシード(乾燥) 36.9g
ごま(煎り) 12.6g
アーモンド(フライ味付) 10.1g
ピスタチオ(煎り味付) 9.2g
甘栗(中国栗) 8.5g
くるみ(煎り) 7.5g
マカダミアナッツ(煎り味付) 6.2g
カシューナッツ(フライ味付) 6.7g

果実

食物繊維がたくさんとれる生の果実の筆頭はアボカドです。柿やなつめなどは、干したもののほうが一度にとれる食物繊維量は多くなります。バナナやマンゴーも、食物繊維の摂取量を増やすならドライフルーツにして食べるのがおすすめです。アボカドも食物繊維が多いため、サラダなどにして積極的にとりましょう。

ジュースやドライフルーツにすると食べやすくなりますが、果実は糖質が多いため、食べ過ぎに注意してください。また、ジュースにして果肉を取り除くと、食物繊維の摂取量も減ってしまいます。

■食物繊維を含む果実

食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
ドライブルーベリー 17.6g
干し柿 14.0g
ドライなつめ 12.5g
ドライいちじく 10.7g
ドライあんず 9.8g
ドライプルーン 7.1g
ドライバナナ 7.0g
ドライマンゴー 6.4g
アボカド 5.6g
グアバ 5.1g
レモン(全果) 4.9g
ラズベリー 4.7g

管理栄養士がおすすめする、食物繊維が多い食べ物ランキング

続いては、管理栄養士がおすすめする、食生活に取り入れやすい食物繊維が豊富な食べ物ベスト10を紹介!ここまでご紹介した食べ物は、単純に100gあたりの食物繊維の量をもとに比較しているため、乾燥状のものや粉末状のもの、また実際の食生活では少量で十分なものも含まれています。
そこで以下のランキングでは、現実的に食物繊維の摂取量を増やせるように、管理栄養士がおすすめする食生活に取り入れやすい食べ物で作成しています。食物繊維がとりたいときは、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、単一の食品で食物繊維の摂取量を増やすことは現実的ではありません。食物繊維以外の栄養素もバランス良く摂取するために、いろいろな食品を組み合わせることを意識しましょう。

■食生活に取り入れやすい食物繊維が多い食べ物ランキング

順位 食品名 食物繊維(可食部100gあたり)
1 ドライトマト 21.7g
2 切り干し大根 21.3g
3 らっきょう 20.7g
4 ドライブルーベリー 17.6g
5 干し柿 14.0g
6 グリーンピース(冷凍茹で) 10.3g
7 ドライあんず 9.8g
8 じゃがいも 9.8g
9 レンズ豆(茹で) 9.4g
10 オートミール 9.4g

食物繊維の摂取量を増やす方法

食物繊維の摂取量を増やすには、毎日の食事の内容や調理方法の見直しが有効です。ここでは、食物繊維の摂取量を増やす食事のヒントをご紹介します。

食物繊維が豊富な食べ物を意識的に取り入れる

食物繊維は、穀類、野菜、果実、いも類、豆類、きのこ類、海藻類、種実類に多く含まれています。これまでの食生活で不足しているものがあれば、積極的に取り入れましょう。
サラダや汁物を作る際には、野菜だけでなく海藻やきのこを取り入れるだけでも、摂取できる食物繊維量が変わってきます。

食物繊維が豊富な主食を選ぶ

同じ穀類でも、精白した白米より玄米や雑穀米のほうが食物繊維量は豊富です。精白されていない色付きのものを主食に取り入れてみてください。そばや全粒粉パンなどもおすすめです。

食物繊維が豊富なおやつを選ぶ

洋菓子や和菓子、スナックなどのおやつを、食物繊維が多い食べ物に切り替えると食物繊維の摂取量を増やすことができます。甘栗やナッツ、ドライフルーツ、ポップコーンなどがおすすめです。

食物繊維が豊富な飲料を選ぶ

ココアには、カカオ由来のリグニンと呼ばれる不溶性食物繊維が含まれています。カカオポリフェノール、カルシウムや鉄分なども同時にとれるため、仕事の休憩時や朝の一杯に取り入れましょう。
大葉やケールなど、多様な野菜から作られている青汁も、食物繊維をとるのに最適です。

調理方法でカサを減らす

野菜やきのこ類は、煮たり、蒸したりするとカサが減ってたくさん食べられます。調理の際に刻んでカサを減らすのもおすすめです。
いも類や豆類は食物繊維が豊富ですが、量がとれないのが難点です。ポタージュ状の汁物にすると、カサが減って多く摂取できるようになります。ポタージュ状にするのが面倒なときは、レトルトを利用すると便利です。

乾物を活用する

野菜やきのこ類、果実類の乾物を活用するのもおすすめです。乾物には、汁物に簡単に追加できる乾燥わかめや、そのまま食べられるドライフルーツなど、調理の手間を減らしながらいろいろな料理やデザートに取り入れられるものがたくさんあります。常温で長期間保存できるため、買い置きにも適しています。


忙しい日は、冷凍宅配弁当を活用しよう

いろいろな食べ物を買い集めて調理をするのは難しいときは、電子レンジで調理できる冷凍宅配弁当を活用してみませんか。
ニチレイフーズの「もち麦ワンディッシュ」シリーズは、プチプチした食感のもち麦の上に主菜がのったワンプレートスタイルで人気の、冷凍宅配弁当です。

2023年5月に、「もち麦ワンディッシュ」シリーズから、大麦由来β-グルカンが3,000mg含まれている機能性表示食品が登場しました。本品には大麦由来β-グルカンが含まれています。大麦由来β-グルカンは食後の血糖値の上昇を穏やかにすることが報告されています。
2023年8月現在、ラインアップは「キーマカレー」「こんがりチキンのトマトソース」「チリコンカンライス」の3品。業務用と家庭用の両方で冷凍食品の技術を磨いてきたニチレイフーズが、味にもこだわって開発しました。

冷凍宅配弁当なら、買い物や調理の手間はもちろん片付けの手間もありませんので、ぜひ試してみてください。

「もち麦ワンディッシュ」については、下記のページをご覧ください。

  • ・食生活は、主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを
  • ・本品は国の許可を受けたものではありません。
  • ・本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

不足しがちな食物繊維を賢くとろう

食物繊維は健康をサポートする成分です。現代の日本人の食生活では不足しがちなため、食物繊維の多い食べ物を知り、調理方法を工夫して摂取量を増やしましょう。
時間がないときや、足りない栄養をスピーディーに補いたいときは、冷凍宅配弁当も頼りになります。


食物繊維をとりたいときにおすすめの食べ物は?
管理栄養士がおすすめする、食生活に取り入れやすい食物繊維が多い食べ物は次のとおりです。
・ドライトマト:21.7g
・切り干し大根:21.3g
・らっきょう:20.7g
・ドライブルーベリー:17.6g
・干し柿:14.0g
・グリーンピース(冷凍茹で):10.3g
・ドライあんず:9.8g
・じゃがいも:9.8g
・レンズ豆(茹で):9.4g
・オートミール:9.4g
※グラム数は、可食部100gあたりの食物繊維の量。
※食物繊維の含有量が多くても調理時に使用する量が少ない食べ物は除いています。
食物繊維が一番多い食べ物は?
乾燥きくらげが最も多いです。ココア、青汁、切り干し大根、ドライトマトなどにもたくさんの食物繊維が含まれています。

監修清水加奈子
管理栄養士、国際中医薬膳師、国際中医師。栄養学・中医学・薬膳の専門知識を持つフードコーディネーターとして、多数のメディアでダイエットレシピの提案や監修で幅広く活躍中。
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