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好きな物を食べ、好きなときに寝る、自由気ままな一人暮らし。誰にも邪魔されず、自分のライフスタイルを満喫できる暮らしに満足している人も多いでしょう。一方で、一人暮らしは食生活が乱れやすいことに注意が必要です。
ここでは、年齢層や性別も踏まえて、一人暮らしで不足しがちな栄養素や、その栄養素を簡単に補う方法をご紹介します。
一人暮らしの人は年々増加している
一昔前の「一人暮らし」といえば、大学入学や就職といった節目に子供が親元を離れ、独立するケースが多かったのではないでしょうか。2020年の世帯の種類と世帯の家族累計を年齢と男女別にまとめると、下記のようになります。
■年齢・男女別、世帯人員の割合(2020年)
出典:総務省統計局「 令和2年国勢調査 」(2020年10月)
今でも若者が親元を離れて独立するケースが多く、特に男性は自立する機会が多い20歳代から30歳代前半で一人暮らしの割合が高くなり、25~34歳でピークを迎える傾向があります。
一方、女性も20歳代から30歳代前半にかけて一人暮らしの人が増えますが、男性に比べると少なく、その後も55~64歳までの各年齢階級で男性を下回る状態が続きます。全年代を通じて、女性の一人暮らしが男性を上回るのは65歳以上で、ピークは75歳から84歳です。女性のほうが男性より平均的に見て長寿であるため、高齢者人口に占める女性の割合が高くなっています。
このことから、近年の一人暮らしには少子高齢化や核家族化、未婚率の増加などの影響が色濃く反映されており、男性の若年層と女性の高齢層を中心に多様な形態があることがわかります。
高齢者の一人暮らしは、男女共に増加
65歳以上の高齢者を含む世帯については、下記のようになっています。
内閣府「
65歳以上の者のいる世帯数および構成割合(世帯構造別)と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合
」を加工して作成
資料:1980年は厚生省「厚生行政基礎調査」、2019年は厚生労働省「国民生活基礎調査」による
(注)()内の数字は65歳以上の者のいる世帯総数に占める割合(%)
1980年には世帯構造の約半数を三世代世帯が占めていましたが、2019年では夫婦のみの世帯が一番多く約3割となり、単独世帯と合わせると約6割に達しました。特に、65歳以上の一人暮らしの数は、男女共に大幅に増加しています。
一人暮らしの食事の問題点
日本政策金融公庫が2014年に行った消費者動向調査の結果をもとに、世帯類型別の食に関する志向を整理したレポートによれば、単独世帯と夫婦のみの世帯で最も多いのは、健康に配慮した食を志向する「健康志向」で、食費を節約した食を志向する「経済性志向」を上回りました。
健康志向を選択した年代は特に高齢層が多く、高齢者の割合が増加している日本では一般的な志向になりつつあるといえそうです。一方で、若年層が多く選択したのは「経済性志向」と「簡便化志向」で、若年層との意識の違いが浮き彫りになりました。
この結果からは、一口に一人暮らしといっても食に関する志向は年代によってさまざまで、高齢者は健康への不安を抱えているであろうこと、若年層は簡易な食事で健康にリスクが生まれる可能性があることがうかがえます。
では具体的に、一人暮らしの食事の問題点について考えてみましょう。
孤食が増える
一人で食事をすることを「孤食」、食事を誰かと共にすることを「共食」といいます。共食の頻度が高い人は食生活が良好で、ストレス反応や孤独感が低いことがわかっています。
これは、共食が単に複数人で物を食べる場としてだけではなく、食卓を共にする人とコミュニケーションをとる機会として機能しているからです。共食の場で他者から心理的・物理的なサポートが得られること、反対に相手をサポートして感謝を受けることで自己肯定感が高まりなどによって、精神的な健康に良い影響を及ぼします。一人暮らしで孤食が増えることは、精神的にも好ましくないといえるでしょう。
不規則な食事で健康リスクが高まる
一人暮らしだと、買い物や一人分の調理をすることが面倒で、食事の時刻や頻度が不規則になることが増えるでしょう。また、自分の好みだけで選ぶことができるため、食事の内容も偏りがちです。このような状態が続くと、健康面でのリスクが高まります。
一方で、共食が多い人や孤食が少ない人は、そうでない人と比較すると下記のような傾向が見られ、健康的な食生活を実現しています。
<共食が多い人や孤食が少ない人の特徴>
・野菜や果物など健康的な食品の摂取頻度が高い
・主食・主菜・副菜をそろえてバランス良く食べている(乳幼児~小学生を対象とした研究)
・多様な食品を食べている(中学生や高齢者を対象とした研究)
体重や体型が気になる
前述した不規則な食事は、長期的な体重や体型の変化にもつながります。朝食欠食や不規則な食事時間、短時間睡眠など、不規則な生活習慣が多い人ほど体重変化率が大きいことから、他者からの制約やアドバイスが少ない一人暮らしの人は特に注意が必要です。
日本肥満学会は、BMI(体重(kg)÷身長(m)2で求められる数値)が25以上を肥満としています。2019年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」では、BMI25以上の割合は男性で33.0%、女性で22.3%でした。2013年から2019年の変化を見ると、男性の割合が有意に増加していることから、特に男性は食生活に気を配る必要があるでしょう。
食事の内容が偏る
一人暮らしで仕事や勉強で忙しい場合は、栄養バランスの良い食事を用意する時間が取れず、食事の内容が偏りがちです。
さらに、高齢になると食事の量が少なくなり、あっさりした物や食べやすい物を好むようになって、肉類や生野菜をあまり食べなくなります。すると、ビタミンやミネラル、たんぱく質、エネルギーが不足して健康リスクが高まります。
朝食を欠食しがち
朝は時間がなかったり、食欲がなかったりして食事を抜く人が少なくありません。2019年の「国民健康・栄養調査」では、特に一人暮らしをしている男性の朝食欠食率が高くなっています。
朝食を食べないと、脳がエネルギー不足になるおそれがあります。脳の唯一のエネルギーはブドウ糖ですが、ブドウ糖は体内に溜め込んでおくことができません。そのため、夜ごはんを食べてから時間が経っている朝は、エネルギーが著しく不足した状態です。すると、なんとなくイライラしたり、勉強や仕事がはかどらなかったりします。
一人暮らしで不足しがちな栄養素とは?
栄養素摂取の面から一人暮らしの食生活を見ると、どのようなことがいえるのでしょうか。男性、女性、高齢者が不足しがちな栄養素を挙げてみました。
男性が不足しがちな栄養素
男性の場合、30歳代から肥満が増え、30~60歳代の約3割が肥満とされています。主食、主菜、副菜を組み合わせてバランス良く食事をとることが大切です。ビタミン、ミネラル、食物繊維が多く含まれる野菜はしっかりとりましょう。併せて、きのこ、いも、豆類、海藻などもとることをおすすめします。
女性が不足しがちな栄養素
女性の場合、筋肉や骨が少ないことからやせて見えるものの、実は脂肪が多い人が多く存在します。筋肉を増やすためには、材料となるたんぱく質が必要です。たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品などからとることができます。
また、2019年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」によると、20代女性の20.7%がBMI18.5未満の「やせ」であることがわかりました。BMIの標準値は18.5~24.9です。バランス良く栄養をとり、やせによる健康リスクを防ぎましょう。
高齢者が不足しがちな栄養素
BMI18.5未満の低体重(やせ)の高齢者は、肥満の高齢者よりも注意が必要です。65歳以上でやせてきたと感じる人は、かかりつけ医に相談し、筋肉量を維持するたんぱく質が豊富な肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを食事に取り入れてください。
年齢を重ねた女性は、骨の重要な構成成分であるカルシウム、カルシウムの吸収に関わるビタミンD、ビタミンKなどをとることをおすすめします。
カルシウムは乳製品のほか、小松菜、春菊、豆腐などにも含まれています。
不足しがちな栄養素を簡単に補う方法
不足しがちな栄養素は、便利な食品をプラスするだけで簡単に補うことができます。一人暮らしで不足しがちな栄養素を補う方法をご紹介します。
乾燥野菜を使う
一人暮らしの場合、野菜を丸ごと買っても使いきれないことがあります。せっかく買っても腐らせてしまったり、食べるときには鮮度が落ちていたりすることが多いと、どうしても野菜を食べる頻度が減ってしまいがちです。
乾燥野菜なら、お味噌汁にサッと入れたり、レトルトカレーに加えたりするだけで簡単に食べられて、手軽に野菜不足を補えます。
使いたいときに使いたい分だけ取り出して食事にプラスできることはもちろん、干すことで野菜の栄養価がアップしているのもうれしいポイントです。
カット野菜を使う
自炊したほうがいいことはわかっているけど、下ごしらえや調理が面倒というときに便利なのが、スーパーやコンビニで買えるカット野菜です。
最近のカット野菜は、キャベツのざく切りや千切り、レタスミックス、炒め物にそのまま使える野菜ミックスなど、さまざまな種類があります。煮物やきんぴら用に下ごしらえが済んだ状態で売られている物もあり、うまく使い分ければレパートリーも増えるでしょう。
冷凍の野菜ミックスを使う
冷凍の野菜ミックスも、野菜不足をカバーしたいときに便利です。凍ったまま調理するほうが素材へのダメージを抑えられておいしく仕上がり、料理の時短にもなります。
ほとんどの冷凍野菜は、旬の時期にたっぷり収穫し、鮮度を保った状態で急速冷凍しているため、いつでも旬のおいしさを味わえるのも魅力です。冷凍することで栄養の損失は最低限にとどめられ、冷凍保存中も栄養価が維持されています。スーパーやコンビニで買うほか、時間があるときに自分で野菜を下ごしらえして冷凍しておくのもおすすめです。
ドライフルーツで果物をとる
ビタミンをはじめ、ミネラル、食物繊維などを含んだ果物は、健康のために積極的に取り入れたい食品です。ただ、野菜と同じく果物も一人暮らしには量が多すぎて、消費しきれないことが多いのではないでしょうか。だからといって、少量の果物を買うために買い物へ行くのも億劫です。
果物不足を手軽に補いたいときは、保存期間が長く切らずに食べられるドライフルーツを活用しましょう。そのまま食べてもいいですが、ヨーグルトに入れると水分を吸ってしっとりして、よりおいしく食べられます。乳製品でカルシウム不足も補えるのでおすすめです。
おつまみやおやつをピーナッツやアーモンドに変える
ピーナッツには、たんぱく質や食物繊維、マグネシウム、ナイアシン、葉酸、ビオチンが豊富に含まれています。また、アーモンドは、たんぱく質、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、ビタミンE、ビタミンB2が豊富です。おつまみやおやつをピーナッツやアーモンドに変えるだけでも、不足しがちな栄養素をカバーすることができるでしょう。サラダに散らしてもおいしく食べられます。
ただし、脂質やカロリーも多いので食べすぎには注意してください。
電子レンジ調理で食べられる、冷凍宅配弁当もおすすめ
「一人暮らしでもしっかり栄養バランスをとりたいけど、毎日自炊は大変」「もっと簡単に、おいしくて栄養のある食事をとりたい」というときは、冷凍庫から取り出して電子レンジで温めるだけで栄養バランスのとれた食事が楽しめる冷凍宅配弁当がおすすめです。
ニチレイフーズダイレクト「 きくばりごぜんⓇ 」は、カロリーを300kcal以下、食塩相当量を2.0g以下にコントロールした冷凍宅配弁当。管理栄養士が監修しているため、栄養バランスは折り紙付きです。豊富な主菜と副菜のラインアップで、野菜も100g以上入っています。こだわりの味付けで、ヘルシーかつ食べ応えは十分です。初めての方は、まずはお試しセットから始めてみるのがいいでしょう。
「きくばりごぜんⓇ」については、下記のページをご覧ください。
食生活を見直して、一人暮らしをもっとすこやかに
食生活が乱れやすい一人暮らし。自分の性別や年齢を踏まえて、オーバーしやすい栄養素や不足しがちな栄養素に気を配り、健康を維持しましょう。調理の手間を省ける冷凍野菜や、すぐに食べられる乾燥野菜などを常備しておくと、不足することが多い野菜もしっかり補えます。
また、忙しい日や疲れた日は、冷凍宅配弁当を活用するのも賢い方法です。無理せず自分に合ったやり方で、より健康的な一人暮らしを楽しんでください。
- 一人暮らしで栄養不足にならないようにするには?
- 不足しがちな栄養素は、便利な食品をプラスするだけで簡単に補うことができます。乾燥野菜、カット野菜、冷凍のミックス野菜等を料理に用いたり、ドライフルーツやナッツの接種がおすすめです。
- 一人暮らしの人が抱えがちな食生活の問題は?
- 一人暮らしの食事では、健康的な食品の摂取頻度が低くなることや、栄養のバランスが偏り安いことがよくある問題として挙げられます。