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共働き家庭の増加に伴い「健康で幸せな家族の食事」をどう実現するかが問われるようになりました。「できるだけ家族みんなで楽しく健康的な食事をしたい」と思っていても、実際には時間に追われて栄養バランスまで考える余裕がなかったり、生活サイクルが合わずバラバラに食事をしていたりするためです。
このような状態が続くと、心身に影響が出る可能性があります。
ここでは、共働きで忙しく健康的な食事が難しい家庭に向けて、解決方法をご紹介いたします。
また、共働きに限らず、仕事や介護、育児、学校、部活、塾などで料理の時間が取れなかったり、食事の時間がそろわなかったりする家庭も多いでしょう。このような家庭の食事の参考にもなるはずです。
共働き家庭でよくある食事の悩み
共働きの家庭は、主にどのような悩みを抱えているのでしょうか。代表的な悩みをピックアップしてみました。
家族でいっしょに食事をする時間が取れない
2017年に農林水産省が実施した「食育に関する意識調査」では、「家族といっしょに食事をすることは重要であると思う」との設問に「とてもそう思う」または「そう思う」と回答した人の割合は、すべての年代で9割に上りました。
家族で食卓を囲み、今日あったことなどを話してコミュニケーションをとる「共食」は、家族間の絆を深め、子供が食品に関する知識やテーブルマナーを習得するための大切な機会です。食事時間が一定になりやすいことも、家族で食事をするメリットのひとつだといえるでしょう。
一方で、「家族がいっしょに食事をすることは難しい」に対して「とてもそう思う」または「そう思う」と答えた人は、20~50歳代で3割強を占めました。理由としては全年代を通じて「自分、または家族の仕事が忙しいから」が最も多く、いわゆる働き盛りの世代における共食の理想と現実が浮き彫りになった形です。
レパートリー不足、調理の知識不足
共働き家庭が増加に転じたのは1980年で、1997年には「男性が家計を支え、女性が専業主婦で家庭を支える」世帯数を上回っています。現役世代の人が子供の頃は、親が共働きで忙しく働いていた家庭も多いのではないでしょうか。
共働きをはじめとした忙しい家庭では、子供に料理を教える時間を取りにくく、調理の基礎を親が子へ伝える機会が限られます。そのため、家庭の味や昔ながらのレシピ、魚のさばき方、野菜類の下ごしらえの方法、調味料の使い方などの知識や経験が少ないまま大人になり、「レパートリーが少なく何を作ればいいかわからない」「味付けがワンパターンで、いつも同じようなメニューになる」といった悩みを抱える人が少なくありません。
作る時間がなく、外食や中食が多い
仕事を終えた後でやるべき家事はたくさんあります。特に子供がいる共働き家庭は、寝かしつけまでが分刻みのスケジュールでほとんど余裕がないことも多いでしょう。
本当は食事を作りたいのにもかかわらず、時間がないせいで、外食や調理済みのお惣菜や弁当などの「中食」を利用せざるをえないという悩みが生まれています。
共働き家庭の食事における問題点
共働き家庭の食事の悩みを放置していると、どのような問題が起こるのでしょうか。考えられる問題は、大きく下記の3つです。
夫婦間のすれ違いが起きる
家族でいっしょに食事をとる機会が少ないと、対話をする時間が物理的に減少します。結果として、パートナーの負担が増えていることに気づかなかったり、相手への不満が積み重なったりして、すれ違いにつながる可能性が高まります。夫婦間のすれ違いを生まないために、家事負担の均一化や、食事以外の場でコミュニケーションをとる努力が必要といえるでしょう。
孤食で心の状態が悪化する
近年、一人で食事をとる「孤食」が問題視されています。孤食の頻度が高い人は、ストレスを強く感じる傾向があり、心の健康状態が悪化しやすいので注意が必要です。農林水産省が2022年に実施した「食育に関する意識調査」では、家族と同居している人が家族といっしょに食事をとる頻度について調査しています。その結果、家族で朝食を食べることがほとんどないという人が、朝食では26.0%、夕食では6.2%いることがわかりました。
心身の発達途上にある子供も、孤食の影響を受けることがわかっています。孤食の機会が多い子供は、箸の持ち方や食前の手洗い、挨拶などのマナーが身につかないといった問題に加えて、「何もやる気が起こらない」「イライラする」といった不定愁訴を訴えることが多いといわれています。
栄養バランスが偏る
共働きで食事を作る時間がないときに便利な外食や中食は、一見すると時短になる上にさまざまな食品がとれ、メリットばかりのように思えます。
ところが、外食や中食をよく利用する人は脂質摂取量が多く、食物繊維は不足する傾向であることがわかっています。2019年に厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」でも、野菜摂取量や脂肪エネルギーの比率は、各年代で目標に達していない項目となっており、注意が必要です。
共働き家庭の食事問題を解決する方法
共働き家庭が抱える食事の問題を解決するには、どのような方法があるのでしょうか。取り組みやすい方法をご紹介します。
子ども食堂など、地域の共食の場を活用する
共食は「誰かといっしょに食事をすること」を指し、主に家族全員、家族の一部、友人、親戚などを含みます。共食には、下記のようなさまざまなメリットがあるといわれています。
<共食のメリット>
・朝の疲労感や体の不調がなく、健康に関する自己評価が高くなる
・ストレスがなく、自分が健康だと感じられる
・野菜や果物など健康的な食品の摂取量が多く、インスタント食品や清涼飲料水などの摂取量が少ない
・主食、主菜、副菜をバランス良く食べられる
・多様な食品がとれる
・食事や間食の時間が規則正しい
・朝食の欠食が少ない
・起床時間や就寝時間が早い
・睡眠時間が長い
共食には多くのメリットがある一方で、両親ともに帰宅が遅い家庭や、都心部で周囲とのつながりが希薄な地域などでは、共食が難しい子供もいるでしょう。
そんなときは、地域住民や自治体が主体となり、無料または安価で食事と団らんの場を提供する「子ども食堂」を利用するのも手です。子ども食堂は、子供の居場所づくりや地域づくりはもちろん、「マナーや食文化、食事や栄養の大切さを伝えること」「主食・主菜・副菜をそろえること」などを意識して運営されています。
地域の力を借りることは、決して悪いことではありません。上手に活用して、共食の場を子供に与えることが大切です。
栄養バランスの良い朝食を用意する
忙しい共働き家庭において、3食すべての栄養バランスを完璧に整えることは簡単ではありません。がんばりすぎると作り手が疲弊してしまいますから、「朝食だけでもバランス良く」を心掛けましょう。
一日の始まりにしっかり食事をとることは、一日を元気に過ごすためにとても重要です。
寝ているあいだ、体の中では筋肉や肌をはじめとしたさまざまな組織のメンテナンスが行われています。朝食をとことで、胃に食べ物が入ることで腸に合図が送られ、排泄のスイッチが入るのです。
同時に、朝食からエネルギー源になる栄養素と、代謝に欠かせないビタミン・ミネラルが吸収されることで、活動エネルギーを作り出す代謝のスイッチがオンになります。体温を上げ、体を目覚めさせるためにも朝食は欠かせません。
簡単に食べられる食品を活用する
食品を吟味する時間がない、調理もできる限り手短に済ませたい、レパートリーがあまりないといった場合は、簡単に食べられて栄養バランスがとれる食品を活用しましょう。このような食品は、朝食や間食にもおすすめです。
・バナナ
脳にとって、唯一のエネルギー源は糖質です。朝、しっかり糖質をとることで脳の働きが活発になり、仕事や勉強がはかどります。
バナナは、ブドウ糖や果糖、ショ糖など、多様な糖質を含み、忙しい朝でも手軽に糖質をとれる優秀な食品です。
・プロセスチーズ
プロセスチーズは、調理不要で簡単にたんぱく質を摂取できる食品です。たんぱく質は、摂取したエネルギーの一部を体温上昇のために使います。体温は朝が一番低いので、たんぱく質を含む食品を朝食にとると、寝ているあいだに下がった体温が上がり、活動がしやすくなります。
・缶詰、ソーセージ、ハム
たんぱく質は体に必須の栄養素ですが、肉や魚からとろうとすると調理加工が必要で手間がかかります。ツナ缶や鯖缶などの缶詰、ソーセージ、ハムなら、調理不要で簡単に食べられるのでおすすめです。
・卵
卵は必須アミノ酸をバランス良く含んでいる、アミノ酸スコアが100の食品です。たんぱく質や葉酸を豊富に含んでおり、卵かけごはんやゆで卵など、簡単に食事に取り入れられます。
・冷凍野菜、カット野菜
洗ったり切ったりする手間がかからない冷凍野菜やカット野菜は、そのまま使えて時短に最適です。市販品を利用してもいいですし、野菜やきのこなどをカットして自分で冷凍野菜を作ってもいいでしょう。
葉物や根菜をカットして乾燥させた乾燥野菜も、お味噌汁などにさっと入れるだけで野菜不足を補えます。
料理の時短テクニックを活用する
食品を吟味する時間がない、調理もできる限り手短に済ませたい、レパートリーがあまりないといった場合は、簡単に食べられて栄養バランスがとれる食品を活用しましょう。このような食品は、朝食や間食にもおすすめです。
・週末にまとめてごはんを炊き、冷凍しておく
ごはんは粒食なので、消化吸収のスピードが緩やかで、血糖値も急激には上がりません。ビタミンやミネラルが含まれるおかずを足したり、おにぎりにして具を入れたりすることで不足する栄養素を手軽に補えるのもメリットです。
食事のたびに炊くのは大変なので、週末にまとめて炊いて冷凍しておくか、レトルトパックのごはんを使いましょう。おにぎりにして冷凍しておくと、さらに手間が省けます。
・野菜をたくさん入れたスープや味噌汁を作り置きする
野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維がたっぷり含まれています。まとめて作って冷蔵・冷凍しておけば、温めるだけで食べることができます。
・肉や魚は味付けまでして冷凍しておく
肉や魚は、お好みの下味をつけて冷凍保存しておけば、あとは炒めるだけ・煮るだけで立派な一品に。時間があるときに味噌や照り焼き風のたれなどで味付けをし、冷凍保存袋に入れて保存しましょう。
・電子レンジだけで調理が完了できるように準備しておく
子供が小学校高学年くらいの家庭なら、「レンジでチンして温めるだけ」の状態の料理を用意してから出掛けるのも効率的です。
下記のような料理なら、火を使わないので危険も少なく、高学年なら子供だけでも作れます。親の帰宅より先に塾へ行かなければならないときの腹ごしらえや、親が残業になりそうな日の夕食に準備していくと、親が不在でも彩りが良く、栄養バランスの整った料理を食べてもらうことができるでしょう。帰宅してすぐ食事にしたい日にもぴったりです。
<材料>
・カット野菜
・こま切れ肉、または魚の切り身
・調味料(ポン酢や麺つゆとオイルを合わせた物+スパイス)
<作り方>
1. レンジ対応のタッパーにカット野菜を敷き、こま切れ肉または魚の切り身をのせる。
2. 調味料を回しかける。
3. 冷蔵庫に入れておき、食べる直前に電子レンジで加熱する。
冷凍宅配弁当を取り入れる
「共働きで忙しくても、栄養バランスの良い食事をとりたい」「できるだけ家庭で共食の機会を作りたい」と家族の健康を願う共働き世代は、ついがんばりすぎてしまいがち。作り手が疲れきって健康を害するようなことになれば、本末転倒になってしまいます。
そんな共働き世代におすすめしたいのが、ニチレイフーズダイレクトの冷凍宅配弁当です。 忙しくて買い物に行けないときや、調理の時間が取れないときも、栄養バランスの整った食事を用意することができます。
ニチレイフーズダイレクトの冷凍宅配弁当「 きくばりごぜんⓇ 」は、カロリーを300kcal以下、食塩相当量を2.0g以下にコントロールしています。管理栄養士が監修しているため、栄養バランスは折り紙付き。初めての方には、多彩なおかずが楽しめるお試しセットがおすすめです。
「きくばりごぜんⓇ」については、下記のページをご覧ください。
忙しい共働き家庭の食事は、各種サービスや時短食品の利用も視野に
どんなに忙しくても、健康で幸せな家族の食事はあきらめたくないものです。
多忙な共働き家庭で食事の悩みを解決するには、地域の共食の場や冷凍宅配弁当などのサービス、カット野菜や冷凍野菜などの時短食品を上手に活用しましょう。作り手が疲れてしまわないよう、負担を軽減する方法を見つけてください。
- 共働きの夕食はどうしてる?
- 冷凍宅配弁当などのサービス、カット野菜や冷凍野菜などの時短食品を上手に活用しています。両親ともに帰宅が遅い家庭の場合、地域の共食の場を利用するのも一つの手段です。
- 共働き家庭ではいつ夜ご飯を作ってる?
- 共働きで平日に食事を作る時間が無いときは週末の作り置きがおすすめです。ごはんやスープ、味付けをした肉や魚を冷凍保存しておくことで、忙しい日でも栄養バランスの整った食事をすぐに食べられます。