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「イベントに向けて体を絞りたい」「健康診断で適正体重より多いと指摘された」といった場合、短期間で体重を落とす過激なダイエットに飛びつきたくなる人も多いかもしれません。しかし、極端な食事制限や激しい運動だけで体重を減らすダイエットは、リバウンドしやすい上、脂肪だけでなく筋肉も落ちて太りやすい体質になってしまう可能性があります。
ここでは、健康的にダイエットをして適正体重を維持するために知っておきたい食事のとり方を中心に、バランスの良い食事やダイエット中に必要な栄養成分などを解説します。
ダイエットとは、食事のコントロールや運動で適正体重にすること
ダイエットは、食事のコントロールと、一人ひとりに合った適度な運動を組み合わせて適正体重にすることです。
見た目や体重が気になってやせようとする場合、食べる量や食事の回数を極端に減らしたり、特定の食品だけをとり続けたりといった食事制限で少しでも早く結果を出そうとする人もいるかもしれません。
しかし、食事を抜く、極端に食事量を減らすといった安易な食事制限をすると、体調を崩したり、かえって太りやすくなったりする可能性があります。食事からとる栄養素は、体を作り、動かし、調子を整えるために欠かせないものだからです。
また、人間は「呼吸をする」「心臓を動かす」「体温を調節する」といった生命活動を維持するためにもエネルギーを消費しており、この生命活動維持に消費されるエネルギーの量を「基礎代謝量」いいます。生きていくために基礎代謝量をカバーするだけのエネルギーは、必ず摂取しなくてはなりません。
ダイエットをする際には、規則正しい生活を基本として食事からまんべんなく栄養をとり、さらに適度な運動で筋肉量を維持・向上させる意識を持つことが重要です。
肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積し、BMIが25以上の状態
肥満とは、どのような状態を指すのでしょうか。肥満度の判定には「体重(kg)÷身長(m)2」で求められるBMI(Body Mass Index)が用いられます。厚生労働省の基準では、成人の場合「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI25以上」が肥満とされています。
隠れ肥満とは、BMIは標準でも筋肉量や骨量と比べて脂肪が多い状態
鍛えていて筋肉量が多い人も、脂肪が多い人も体重は重いため、BMIだけで肥満かどうかを判断することはできません。BMIは標準でも、筋肉量や骨量と比べて脂肪が多い状態を、「隠れ肥満」をいいます。
体脂肪率を正確に測るのは困難ですが、隠れ肥満を早期に見つけるためにも、市販の体重計などを活用してだいたいの数値を把握しておくといいでしょう。
肥満は2つのタイプに分けられる
肥満は、大きく下記の2つのタイプに分けられます。それぞれの特徴やリスクについて確認しておきましょう。
・内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)
内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸間膜などに脂肪が過剰に溜まるタイプです。ウエスト周りが大きくなる見た目から、リンゴ型肥満とも呼ばれます。内臓脂肪型肥満は健康上のリスクが高いため、注意が必要です。
・皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)
皮下脂肪型肥満は、皮下組織に脂肪が過剰に溜まるタイプです。お尻や太ももなど、下半身の肉付きが良い見た目から、洋ナシ型肥満とも呼ばれます。女性に比較的多いのが特徴です
肥満の原因とは?
肥満の原因を理解するためには、食事から体内に取り込まれる「摂取エネルギー」と、運動や日常の活動で使われる「消費エネルギー」を知らなければなりません。適正体重を維持するには、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスをとる必要があります。
摂取したカロリーを消費せず食べてばかりいれば体重は増え、摂取するエネルギー以上に体を動かしていれば体重は落ちていきます。これが、太る・やせるの基本的なメカニズムです。このバランスが崩れると、肥満になる可能性が高まります。肥満になる原因は、大きく下記の4つに分けられます。
食べすぎ
食事をとりすぎて、消費カロリーより摂取カロリーが上回ると、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れます。消費しきれずに溜め込まれたエネルギーは脂肪に変わり、体内に蓄積されます。
食べ方
ドカ食い、まとめ食い、早食いといった食べ方は、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを崩し、肥満を誘発する大きな原因です。 1日の食事回数が少なくなると、脂肪を作る働きが高まり、肝臓で中性脂肪やコレステロール合成が活発に行われるようになります。1日を通して摂取エネルギー量を同じにしても、食事回数が少ないほど体脂肪は多く蓄積され、血清コレステロールや中性脂肪は高くなります。 また、早食いにも注意が必要です。食べ物を噛む回数が少なく食事時間が短い人は、血液中のブドウ糖の濃度が上昇して満腹中枢が刺激される前に食べ物を過剰に摂取してしまうため、肥満になりやすいでしょう。
遺伝
父親、または母親から受け継いだ遺伝子の性質によって、肥満になりやすい体質の人もいます。実際、両親が肥満傾向の家系では、子供も肥満ぎみであることが多いため、従来は「肥満は遺伝によるもの」という考え方が主流でした。 しかし、近年、家系的な肥満は生活習慣の影響も大きいとされています。肥満の人が多い家系では、「脂っこい物ばかり食べている」「運動をほとんどしない」といった親の食習慣、運動習慣が受け継がれている可能性が高いためです。
運動不足
運動不足が続くと、摂取エネルギーを消費しきれないため、肥満の原因になります。また、運動不足で筋肉が減るとエネルギーの消費量が減るため、さらに太りやすくなってしまいます。
健康的にダイエットするために、自分の現状を知ろう
健康的なダイエットとは、その人にとっての適正体重に近づけ、維持するということです。
健康診断で肥満を指摘された、BMIの数値が「肥満」を示す25以上であるといった場合は、適切なダイエットで適正体重を目指す必要がありますが、すでに適正な数値である場合は無理に体重を落とす必要はありません。
厚生労働省が2019年に行った「国民健康・栄養調査」では、BMIの数値が「やせ」の男性の約5割、女性の約4割が食習慣を改善するつもりはないと答えています。「やせ」の状態は転倒や骨量不足による骨折のリスクを高めるばかりか、肥満の人と同じくらい糖尿病になりやすいことがわかっているため、やせすぎにも注意しましょう。
BMIと適正エネルギー量の計算方法
ダイエットをする前に、自分の現状を客観的な数値で見直し、ダイエットが必要かどうかを判断しましょう。始めに、BMIを計算します。
<BMIの計算式>
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
BMIが25以上の場合は肥満となり、体重コントロールが必要になるため、標準体重をもとに「適正エネルギー量」を割り出しましょう。
<適正エネルギー量の計算式>
適正エネルギー量=標準体重(身長(m)×身長(m)×22)×身体活動量
身体活動量は下記のとおりです。
■身体活動量
低い(座っていることが多い人) | 25~30kcal |
ふつう(軽い運動や散歩などをする人) | 30~35kcal |
高い(立ち仕事が多い人や活発に運動する人) | 35~40kcal |
この適正エネルギー量を目安として、摂取エネルギーと消費エネルギーを調整すると、健康的に適正体重に近づくことができます。
適正体重を実現・維持する方法
適正体重を実現・維持するには、適正エネルギー量の範囲内に摂取カロリーを調整しなければなりません。続いては、必要な栄養素をとりつつ、摂取カロリーを適正にするコツを紹介します。
主食、主菜、副菜のそろったバランスの良い食事をとる
必要な栄養素をとりつつ摂取カロリーを調整するためには、特定の食品を抜いたり、極端に食事を減らしたりするのはやめましょう。偏った食事は、体に必要な栄養素の不足や、特定の成分の過剰摂取につながり、結果的に健康を害する可能性があります。
油を多用する揚げ物や炒め物を避け、煮物や蒸し物にするなど調理法を工夫したり、お菓子や甘い飲み物、食欲を増進させる効果があるアルコールは控えめにしたりすることで、カロリーを調整するのがおすすめです。
食品の栄養成分表示を確認する
包装して売られている加工食品や添加物には、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の順に栄養素の含有量や熱量を表示する「栄養成分表示」が義務付けられています。
お惣菜やお弁当を購入する際は、栄養成分表示を参照して全体のエネルギー値を確かめ、自分の適正エネルギー量に収まるように商品を選択しましょう。
健康的なダイエットに必要な成分
健康的にダイエットするには、食事でどんな成分をとるかが大切です。まずは、健康的なダイエットに必要な成分とその理由をご紹介します。
食物繊維
食物繊維は、小腸で消化されず大腸に届き、噛み応えがある食品も多くあります。
1日あたりの食物繊維摂取量について、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上と定めていますが、平均摂取量は14g前後にとどまっています。プラス3~4gを目標に、食物繊維の摂取量を増やしましょう。
食物繊維の摂取量を増やす最も簡単な方法は、食物繊維の多い食品を主食にすること。玄米、麦のほか、全粒粉のパン、ライ麦パン、そばなどを主食にすると、効率良く食物繊維を増やせます。そのほか、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどにも、食物繊維が多く含まれます。
たんぱく質
たんぱく質は、炭水化物や脂質とともに、あらゆる生命活動、運動、トレーニングのために必要なエネルギー産生要素のひとつです。筋肉、臓器、皮膚、毛髪、ホルモン、酵素、抗体、脳神経、結合組織などを作るのにも欠かせません。
一般的な成人が1日にとるべきたんぱく質の量は、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)の1kgあたり1.0~1.2gとされています。肉類のほか、魚類や、卵、乳製品などに多いので、意識してとるようにしてください。
ビタミン
ビタミンは、人体の機能を正常に保つための有機化合物で、エネルギー代謝に必要な酵素の役割を補っています。体内ではほとんど作られないため、食べ物から補わなければなりません。
ビタミンが多く含まれているのは、レバー、うなぎ、干しシイタケ、緑黄色野菜などです。代謝に影響するビタミンB群は乳製品、大豆などからも効率良く摂取できます。
健康的にダイエットするための食事のとり方
健康的にダイエットするには、食事のとり方も重要です。下記の5つに注意して食事をとるようにしましょう。
1 単品食べをせずバランスよく食べる
丼ものや麺類、パンなど、単一の食品で1食を済ませてしまうと栄養バランスが偏り、糖質や脂質をとりすぎる可能性があります。主食、主菜、副菜を意識して、さまざまな食材からバランス良く栄養をとるようにしましょう。
また、食事を抜くことも、ダイエットの観点では逆効果です。朝食を抜くことで体重が増え、筋肉量が減るという研究結果もあるので、3食しっかり適量を食べるようにしてください。
2 しっかり噛んで腹八分目まででやめておく
「早食いは太る」とよくいわれるのは、食べ物を食べたときに血糖値が上がることと、脳の中枢がこれを察知する働きが関係しています。通常、脳は血糖値の上昇から20分程で、「満腹になった」とサインを出します。しかし、食べるスピードが速すぎると、脳から信号が出る前に食べてしまうため、なかなか満足感が得られず肥満につながってしまうのです。
ですから、しっかり噛んで、ゆっくり食べることを心掛けましょう。食べているうちについ噛むことを疎かにしてしまう場合は、「30分」などと食事時間を設定した上で、時間をかけて食べることをおすすめします。また、常に腹八分目を心掛けることも大切です。
3 消化吸収を緩やかにする食品といっしょに食べる
糖質を摂取する前に乳製品やお酢をとると、糖の吸収が緩やかになります。また、食物繊維の多い食べ物も、小腸での糖質の消化吸収を緩やかにする働きがあります。
食物繊維は、繊維質を噛むことで自然と咀嚼回数が増え、食べる量が少なくても満腹感が得られるのもメリットです。副菜として上手に取り入れましょう。
4 糖質制限よりスローカロリー
糖質は、種類によって消化吸収のスピードが異なります。調理に使う砂糖を、ゆっくり吸収されるパラチノースに変えたり、白米から血糖値の上昇が緩やかな玄米などに変えたりすることで、糖質の吸収スピードを低下させます。
5 3食の中でバランスをとり、間食は控えめに
昼間、頭を働かせるために欠かせない朝食と昼食はしっかりとり、カロリーをとりすぎてしまうことが多い夕食を軽めにするとダイエット効果が期待できます。お昼を食べすぎたら夕食を少なめにする、食べすぎた翌日は食事の量や内容を調整するなど、1日単位、数日単位でバランスを考えましょう。
3食しっかりとって、間食は控えめにするのが理想的です。脂肪分の多い物のほか、スナック菓子や甘い飲み物など、カロリーが高い物はできるだけ避けるようにしてください。
食事の調整だけでなく、運動も行う
食事の量や食べ方の調整と併せて、身体活動量を増やすことも大切です。
いきなり激しい運動をする必要はありません。おすすめは、少ない負荷をかけてゆっくり動作することで、関節や筋肉に負担をかけずに筋肥大・筋力増強効果を出す「スロートレーニング」です。
スロートレーニングにはいろいろな方法がありますが、「3〜5秒程度かけて上げて、3〜5秒かけて下げる」といった動作が取り組みやすいでしょう。スロートレーニングは、曲げたひじやひざを伸ばしきって休まないようにする「ノンロック」と呼ばれる動作を取り入れると、一層効果的だといわれています。具体的には、下記のような動作です。
<ノンロックを取り入れたスロートレーニングの例>
・スクワットをして、しゃがんだ状態から立ち上がりきらずに再びしゃがむ
・腕立て伏せで腕を曲げたら、伸ばしきらずに再び曲げる
ノンロックを取り入れてスロートレーニングをすると、血流が阻害されたまま運動を行うことになり、筋肥大につながります。自分の体重を用いて手軽に行えるトレーニングでも効果が出る上、ケガのリスクが低いので、普段運動しない人でも取り組みやすいでしょう。
このほか、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と、腕立て伏せやスクワット、腹筋運動といった筋力トレーニングを組み合わせるのもおすすめです。
ダイエットのモチベーションを保つには?
ダイエットで大切なのは、なんといっても続けることです。なかなか目に見える効果が出なかったり、途中で停滞したりすると、モチベーションが低下してあきらめてしまうこともあるかもしれません。
ダイエットのモチベーションを保つには、ダイエットの目的と経過を可視化することです。
ダイエットの目的を明確にする
ゴールが見えないまま、ダイエットを続けるのは困難です。「次の健康診断までに血圧を正常値にする」「肥満の状態を脱する」といった明確な目標を立て、ゴールに近づいている実感を得ながらダイエットに取り組みましょう。
ちなみに、おなか周りに脂肪が蓄積した内臓脂肪型に分類され、BMIが25以上30未満の場合、3~6ヵ月かけて現体重の5%減を目指すのが理想です。短期間で体重を落とそうとしすぎて、無理なダイエットをしないように気をつけてください。
ダイエットによる変化を記録する
ダイエットの効果は一朝一夕には表れませんが、正しい方法で続けていれば必ず成果が出ます。モチベーションを保つためには、変化を記録するのがおすすめです。
万歩計や、ウォーキング・ランニングの記録用アプリ、1日の食事内容を記録してカロリーを算出してくれるアプリなどを使うと記録が簡単にできる上、努力が数字で見えてやる気につながります。
バランスの良い食事をとるなら、冷凍宅配弁当が便利
ダイエットは、食事の内容と食べ方を変え、運動とともに継続することが成功の秘訣ですが、料理が苦手だったり、忙しくて手の込んだ料理ができなかったりする方も多いかもしれません。そんなときは、ニチレイフーズダイレクトの「 きくばりごぜん お試し4食セット 」が便利です。
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カロリーと塩分に配慮しながら調理の工夫でしっかり満足感があり、メニューが多彩で飽きずに楽しめるのもポイントです。便利な冷凍宅配弁当を取り入れて、気楽にダイエットを続けましょう。
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ダイエットの成否は、適正体重を維持できるかどうかで決まる
ダイエットの成否は、適正な体重を維持できているかどうかで判断されます。短期的に食事を抜くなどして体重を落とすことだけを考えるのではなく、健康的な適正体重にゆっくりと近づけ、良い状態を保つことを目指しましょう。
ダイエットに成功した後の体重管理にも、ニチレイフーズダイレクトの冷凍宅配弁当は役立ちます。便利な冷凍宅配弁当を利用して、ダイエットと適正体重の維持に取り組んでみませんか?
- 健康的なダイエットとは?
- 規則正しい生活を基本として、食事からまんべんなく栄養をとり、さらに適度な運動で筋肉量を維持・向上させる意識を持つことで適正な体重を目指すことです。
- 肥満の原因は?
- 摂取したカロリーを消費せず食べてばかりいれば体重は増え、摂取するエネルギー以上に体を動かしていれば体重は落ちていきます。このバランスが崩れると、肥満になる可能性が高まります。